NHK、過去最高額「7332億円の収入」に問う受信料の存在意義

国民の不満は静かに広がっている
時任 兼作 プロフィール

返り咲いた「政権寄り」の幹部

受信料やそれにまつわる問題以外にも、NHKには気にかかることがある。政府との密接な関係は、NHKにとって「負の歴史」であるといえる。

歴史を辿ると、NHKの前身である社団法人日本放送協会は、放送事業を一元的管理統制下に置いた大日本帝国政府の主導で1926年に設立され、ラジオ放送を独占し情報統制の一翼を担った。

このとき、「聴取料」も政府が設定した。今日の受信料の原型は、大日本帝国政府によって作られたわけである。

戦後、大日本帝国が解体され、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)により民主化が進められると、放送制度も改革を迫られたが、日本放送協会は国の外郭団体たる特殊法人として継承されたのである。

 

そして現在――NHKと政権との距離が厳しく問題視されている。

2013年11月、NHKの最高意思決定機関たる経営委員会委員に、安倍晋三首相の“お友だち”とされる作家の百田尚樹氏らが就任したことが物議を醸したのは記憶に新しい。また2016年3月には、政権に批判的な内容を放送した報道番組『クローズアップ現代』が終了した際、安倍首相に近いNHK幹部の介入が取り沙汰された。

政府関係者が語る。

「この幹部とは、当時放送総局長だった板野(裕爾)氏のことだが、同氏を登用した当時の籾井(勝人)前会長すら、1期2年で総局長を退任させたうえ、『彼を絶対に戻してはいけない。NHKの独立性が失われてしまう』と発言していた。そのくらい政権寄りの人物として知られる板野氏が今年4月、子会社社長から戻って専務理事に就任した」