NHK、過去最高額「7332億円の収入」に問う受信料の存在意義

国民の不満は静かに広がっている
時任 兼作 プロフィール

総資産は1兆円を超える

関連資料を見ていくと、ほかにもいくつも気になる点が出てきた。

まずは、莫大な資産形成がなされていることだ。事業収入が継続的に拡大してきた結果である。

実はNHKは、現金・預金・国債などの有価証券を5000億円近く保有しているうえ、固定資産も6000億円を超えている。その一方で、負債の大半は前受け受信料や退職引当金等の引当金になっており、合計で3000億円弱。純資産は7500億円にも上る。

しかも、固定資産の多くは簿価で計上されているが、実勢価格からすると本社所在地の10万㎡におよぶ不動産だけでも含み益が5000億円近い。実質的な純資産は優に1兆円を超え、「超優良企業」と言える状況だ。

 

また、こうした余裕のある財務状況のせいか、役職員の報酬も極めて高額。中央省庁のエリートキャリア並に厚遇されているのである。

NHKの資料に基づいてその中身を記すと、2018年の局員の平均年収は約1125万円。役員や管理職の報酬はおおよそ下記の通りとされている。

・理事(役員)待遇:1600万円

・局長クラス(幹部管理職50歳前後~):1500万円

・部長クラス(一般管理職40代後半~):1200万円

・課長クラス(一般管理職40歳前後~):1000万円

課長クラスが平均年収よりも低くなっている点は不可思議だが、ともあれかなりの高水準であると言える。

国民の怒りが、形をとり始めた

ダメ押しとなるのが、多数の関連団体と天下りの問題だ。

NHKは、番組の映像販売などを行う「NHKエンタープライズ」や番組関連の書籍出版などを手がける「NHK出版」をはじめ、いずれもNHKの業務をビジネスソースとした営利企業を12社擁する。加えて、関連の株式会社が4社。さらに、財政的に支える公益法人等を9団体設けており、交響楽団や学校も傘下に収める。

これらの企業・法人には数多くの職員が役員や幹部として天下り、その中枢を押さえているのである。

「こうした仕組みを支えているのは、国民からの受信料と政府の税金、国債の金利と、要するにすべて国民のカネだ」

そう前出の総務省関係者は指弾する。

近年、こうした声は国民の間でも高まりを見せている。ついにこの参院選では「受信料不払い」を標榜した政治団体まで大々的に現れ、勢力を伸ばしているほどだ。元NHK職員が2013年に設立した「NHKから国民を守る党」が、今年に入って一気に党勢を増しているのである。

4月に行われた統一地方選では、同党から首都圏や関西のベッドタウンを中心に47人が立候補し、26人が当選。その中には、NHKの「おひざ元」たる東京・渋谷の区議会議員も含まれる。

結果、13人の現職議員と合わせ勢力は39人に拡大。それが今夏の参院選で国政進出を目指している。意外なダークホースとなるかもしれない。