NHK、過去最高額「7332億円の収入」に問う受信料の存在意義

国民の不満は静かに広がっている
時任 兼作 プロフィール

受信料についての規定は、法放送の第六十四条で下記のように定められている。

《協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であって、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない》

問題は「ただし」以降の部分だ。

「この条文を素直に読むと、(1)NHKの放送の受信を目的としないもの、(2)多重放送に限り受信できるものは、受信料が要らないということになる。つまり、NHKの番組を見ようとしていないケースは払わなくてもいいということ。(2)の多重放送は、テレビ以外の緊急通報や交通情報などの放送を意味しているからだ。

NHKは、この点にはあえて踏み込まずに条文全体を解説する形で、『NHKの放送を受信できるテレビ(チューナー内蔵パソコン、ワンセグ対応端末などを含みます)を設置』した場合は支払ってもらうとし、ラジオなら払わなくていい、としている。だが、(1)には明らかにパソコン、携帯、カーナビが入る。にもかかわらず、裁判所はこれらも『放送の受信を目的』とする設備だとしたのだ」(前出・総務省関係者)

 

世間の目を気にした「減収予測」?

かくして、NHKは7000億円を優に超える事業収入をたたき出したわけだが、その内訳は次の通りだ。

・受信料収入                 7122億円

・副次収入(番組の著作権などの使用料)     78億円

・財務収入(保有する国債の受取利息など)    40億円

・交付金収入(国からの交付金)         35億円

・特別収入(不動産などの売却益)        2億円 

このほか雑収入として53億円が計上されており、計7332億円。

他方、2019年度の予算書では、受信料収入を7030億円、副次収入については69億円と低く見積もっているため、収入計は7246億円と縮小する見通しになっている。

「創設来のNHKの財務を辿ってみると、2010年あたりは一時期、例外的に事業収入が落ち込んでいるものの、それを除けば一貫して拡大基調。それがいきなり縮小する見通しというのは、不自然だ。世間の目を気にしているのではないか」

前出の総務省関係者は、そう指摘した。

調べてみると、なるほどリーマンショックの影響が国内に浸透した時期、不況で受信料免除世帯が増えるなどしたため、事業収入も減っている。だが、それはあくまでも一時的なものである。来期の減収は考えにくい。