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やがて思考停止状態に…「燃えつき症候群」を見抜く、ふたつの兆候

まずはゆっくり休むこと

叱咤は「愛のムチ」ではない

ビジネスパーソンがストレスを回避し、生き残るためのノウハウが香山リカ氏が著した『オジサンはなぜカン違いするのか』には満載されている。香山リカ氏は、人間には状況を自分に都合良く解釈する傾向があることに警鐘を鳴らす。

〈あなた自身、上司から怒鳴られたり、もしかするとモノを投げつけられたりした経験もあるかもしれません。そのあと何年もたってから「あれは“愛のムチ”だったんだ」と思い直すこともあるかもしれませんが、当初はやはりビックリしたり傷ついたりしたのではないでしょうか。

 

私もそうです。先輩からの冷たく厳しい指導が続いた直後は「どうしてあんなにイヤミな言い方をするんだろう?」などとずいぶん考え込みました。その後、時間がたってから「きっと彼なりに私にショックをいちばん与えそうにない言い方を考え、でも『しっかり指導したい』という思いやりから、あのタイミングでああいう言葉になったのだろう」と思い直し、自分の気持ちを整理したのです。

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果たして、上司からの怒声、イヤミ、ときには体罰などは、本当に「愛のムチ」であり「彼なりの思いやり」なのでしょうか。それはわかりません。いや、むしろ単なるヤツ当たり、うさ晴らしであった可能性も、私の先輩は別として決して低くはないと思われます。あるいは、上司は本当にあなたのことが気に食わなかったのかもしれません。

叱責を受けた側が、それを「部下や後輩を育てたいという愛ゆえ」などと解釈するのは、そうでも思わなければ自分がやっていけなかったからです〉

怒鳴ったり、物を投げたりするのは、上司の部下に対する教育的指導(愛のムチ)ではない。穏やかな言葉で指導すればいい。過剰な感情の発露をするような上司は、情緒が不安定なだけだ。もっとも現実の職場では、情緒不安定な管理職が意外と多い。こういう上司に当たった場合は、極力、接点を減らし、嵐が去る(人事異動)のを待つのが現実的対処策だ。

香山氏は「ふつうの生活」を目指すというあり方の罠について労働問題専門家・熊沢誠氏(甲南大学名誉教授)の著作『働きすぎに斃れて』(岩波書店、2010年)の言説を紹介しながらこう説明する。

〈ことさら「競争社会の歯車になろう」「人を蹴落とそう」としたわけではありません。ただ、“ふつうの生活”をしようと考え、自主的に会社や組織の中でがんばってきただけ。それにもかかわらず、いつの間にか自分の限界を超えて働き、まわりも「ああ、ちょっとやりすぎなんじゃないの」とうすうす気づきながらも、笑顔も忘れて深夜まで働き続ける家族に対して、「もっとのんびりしてよ」と声をかけられません。

「企業内の成功者にならなければ肩身の狭い生活しかできないという『確信』」が、多くの労働者にあるのではないかと熊沢氏は考えるのです〉