老後2000万円を信じて「ダメ投信・ダメ保険」を買った人の悲劇

本当に必要な額は計算できる
岩城 みずほ プロフィール

セールストークに乗ってはいけない

【ケース3】夫は自営業、妻は専業主婦の場合

「平均手取り年収(Y)」は約600万円とします。年金は基礎年金のみですので、夫婦で156万円です。「老後生活費(x)」は60%、「現在資産額(A)」はゼロとします。自営業なので、75歳まで働き続けるとして「現役年数(a)」35年、「老後年数(b)」はその分短くなり20年になります。

このケースでは、「必要貯蓄率(s)」は14.5%です。75歳まで働きながら、手取り収入の14.5%を貯蓄に回して行けば、老後生活費は約25万7000円。年間約87万円、35年間で約3000万円を貯めなければなりません。

 

しかしこれは、「現在資産額(A)」をゼロとした場合ですので、仮に1000万円の貯金があれば、「必要貯蓄率(s)」が11%になり、必要貯蓄額は2310万円、老後生活費は26万7000円になります。また、妻が働くと収入も増えますし、働き方によっては厚生年金被保険者になることもできます。

この3つの試算でわかるのは、一生もらえる公的年金は老後生活の大きな柱となること、老後の必要貯蓄額は働き方や資産状況、老後の生活費をいくらにするかによって様々であることです。

老後2000万円というのはあくまで「平均値」であり、これを見て一喜一憂する必要はまったくありません。自分の老後生活費をイメージして必要貯蓄額を求めてください。また当たり前ですが、現在の収入は、今の生活費であると同時に将来の自分を支えるお金ですので、全部支出しないで、一定割合を貯蓄していくことが必要です。

この試算には、運用による収益をあえて入れていません。収益をあてにして計画を立てるのではなく実際に増えてから、「現在資産額(A)」に加算する方が堅実だからです。ですから、「老後資金が2000万円足りないから外貨建て保険で増やしましょう」などというゴールありきのセールストークには乗らないことです。

必要貯蓄額をきちんと貯めて増やしていくことができれば、老後不安は解消します。
そして、今後インフレになった時に、購買力を維持する上でも、一部に外貨建て資産を持つことは大切です。税制優遇にあるイデコやつみたてNISAの口座で、低コストのインデックス投信を使って海外株に幅広く投資すると良いでしょう。