老後2000万円を信じて「ダメ投信・ダメ保険」を買った人の悲劇

本当に必要な額は計算できる
岩城 みずほ プロフィール

年金の「真実」

そもそも、老後資金がいくら不足するかは人によって違います。一人一人が、自分の「必要貯蓄額」を考えることがなにより大切ですし、金融行政や金融機関はいまこそその方法を伝えるべきなのだと思います。

この連載でもご紹介したことがありますが、私は、「人生設計の基本公式」を使ってそれぞれの「必要貯蓄額」を計算する方法を紹介しています。

「人生設計の基本公式」では、「今後の手取り年収」と「年金額」を使います。「今後の手取り年収」をベースに考えておけば老後生活費もイメージしやすいですし、この式は、老後生活費の基本的な部分を公的年金で終身で賄うことができるということを根拠にしています。

 

そもそも公的年金に対してはネガティブな見方をしている人が少なくはありませんが、そんなことはありません。

老後の年金は終身年金です。長い期間にわたって受給するので、今後、物価が上昇する可能性もあります。物価が上昇しているのに、受給当初のまま金額が変わらないとどうでしょう。例えば、りんご1個が300円から20年後に600円になれば、生活は苦しくなります。物価の上昇に応じて、年金額が増えなければモノを買う力(購買力)は下がってしまうのです。年金を中心とした老後生活で大切なのは、モノを買う力(購買力)を維持することです。

日本の年金制度は、生活保障としての機能を保持するために、「賃金水準」や「物価変動」を年金額に反映させることになっています。つまり、これらが上がれば、年金額も上がるということです。

年金制度は、世代間扶助といい、現役世代の支払う保険料が、年金受給世代に仕送りをされる仕組みです。この賦課方式こそが、モノを買う力(購買力)を維持できる所以なのです。

一方で、自分で支払った保険料を積立ていく方式(積立方式)の年金であるとこうはいきません。例えば、民間の保険会社の個人年金保険は、加入時に決められた保険金を20年後や30年後に受け取ります。物価が上がっていれば、購買力は減ることになります。

公的年金は、賦課方式・強制加入方式だからこそ、30年後、40年後、高齢になって年金を受け取るようになったとき、購買力が維持された年金を受け取ることが可能。民間の保険会社には絶対に作れない「保険」なのです。

そんな年金の不安を煽って、手数料がやたら高いくせに利率は低いダメ投資信託やダメ保険を勧めてくる営業マンには絶対に耳を貸すべきではないのです。