安倍首相「沖縄の基地を減らすことに尽力すべき」と発言した過去

「アンチ・リベラル」という姿勢
中島 岳志 プロフィール

日本型ネオコン勢力の権力奪取

さて、安倍さんの行政に対する姿勢や経済政策を見てみましょう。

1996年に出版された『「保守革命」宣言』では、「徹底した行革が必要だと思いますね」と述べ、徹底した民営化を進めていくべきだとの立場を示します。特に公務員削減を徹底すべきと強調し、10年間で半減を実現すべきと説きます。

実は、『「保守革命」宣言』、『この国を守る決意』において述べられている行政政策は、これだけです。経済政策については、まったく言及がありません。

社会保障政策についての言及が見られるのは、首相就任が目前に迫った2006年の著作(『日本を語る』、『美しい国へ』)以降です。それ以前は、繰り返しになりますが歴史認識問題や外交・安全保障問題に集中しています。 このバランスの悪さも、安倍さんの特徴ということができるでしょう。

ここまで、安倍さんの政治家としての「地金」を見てきました。

安倍さんの本来の関心は、横軸(価値の問題)に集中しています。そして、その姿勢は本人が言及するように「アンチ・リベラル」です。

わずかに語られる縦軸については、「徹底した行革」を強調していることから、「リスクの個人化」を志向していることがわかります。首相就任が迫る頃(2006年)になると、小泉構造改革の影響から格差・貧困問題が社会現象となり、政治家の多くが対応策を示すことを迫られました。

安倍さんは「再チャレンジ」という概念を打ち出して、構造改革・新自由主義路線を評価しながら、貧困問題をフォローすべきとの立場を打ち出すことになりますが、小泉改革への支持と継承という路線は揺らぎませんでした。

 

「アベノミクス」というリフレ(通貨再膨張)的経済政策が出てくるのは、一度、首相の座から降り、民主党政権(2009〜2012年)を経験したあとの話です。

よって、安倍さんはIVのタイプの政治家であると位置づけることができるでしょう。小泉純一郎さんは横軸にはあまり関心がなく、縦軸における「リスクの個人化」を進めることに強い関心があった政治家です。そのあとを継いだ安倍さんは、タイプがまったく異なり、横軸に強い関心を示した政治家でした。

このふたりの路線が合流した時、日本型ネオコン(新保守主義)勢力としてのIVがヘゲモニーを握ることになったのです。