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酷暑のゴミ屋敷、冷凍ペットボトルで命をつなぐ40代女性の孤独

気鋭のノンフィクション作家、渾身ルポ

年間3万人といわれる孤独死者。その個々の人生にスポットを当てるべく、ノンフィクション作家の菅野久美子さん(37)が取材を始めて4年が経つ。大量の蝿が飛び交い、無数の蛆虫が這いまわる。そんな過酷な死の現場に、かつてどんな「生」があったのか。このほど、『超孤独死社会 特殊清掃現場をたどる』(毎日新聞出版刊)を上梓した菅野さんに聞いた。

1000万人の孤独死予備軍

――人生100年時代と言われるなか、孤独死、8050問題、中高年の引きこもりと、様々な社会問題が露見しています。

菅野:私の試算ですと、日本で現在およそ1000万人が孤立状態にあります。これは、日本人の10人に1人という非常に大きな割合です。孤独死とは、家で一人、誰にも看取られずに亡くなることを指しますが、その約8割に見られるのが、ゴミを溜め込んだり、必要な食事を摂らなかったり、医療を拒否するなどして、自身の健康を悪化させる「セルフネグレクト」です。

 

“緩やかな自殺”ともいわれるセルフネグレクトに陥ると、周囲に助けを求めることもなく、社会から静かにフェードアウトしていく。近隣住民から奇異な目で見られていたり、遺族がいてもなるべく関わりたくないというケースが多々あります。そのため、彼らの遺体は警察によってひっそりと運び出され、遺品はほとんどがゴミとして処理されます。

提供:毎日新聞出版

――『超孤独死社会』では、孤独死現場の「特殊清掃」がテーマとして挙げられていますね。

菅野:特殊清掃は、遺体発見が遅れたために腐敗が進み、ダメージを受けた部屋や、殺人事件や死亡事故、自殺などが発生した凄惨な現場の現状回復を手掛ける清掃業です。そして、この特殊清掃のほとんどを占めるのが孤独死なんです。

孤独死が発生すると、近隣住民はその強烈な臭いで大騒ぎとなり、また、マンションの管理会社や大家はすぐに臭いを消さなければと慌てふためく。そうして依頼されるのが特殊清掃業者です。とくに孤独死の最も多く発生する夏場は、特殊清掃業者にとってかき入れ時で、中には現場から現場へ飛び回り、2ヵ月ほど不休で働き続ける業者もあります。