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安倍首相の評価が真っ二つに分かれる「これだけの理由」

自民党のあり方を疑問視していた時期も

いま権力の中心にある「自民党」とはどのような政党なのか? 安倍首相とはどんな人物なのか? これからの日本の選択を考える際の重要な指標となる、政治学者・中島岳志氏の最新作『自民党 価値とリスクのマトリクス』(スタンド・ブックス)。安倍首相を分析した章を特別公開!(初出:『論座』「中島岳志の『自民党を読む』」朝日新聞社)

安倍晋三という政治家の「地金」

史上最長の首相在位期間が射程に入ってきた安倍晋三総理大臣。

肯定的な評価と否定的な評価に真っぷたつに分かれる人物ですが、どのようなヴィジョンや政策、特徴を持った政治家なのか、私たちははっきりとつかみ切れていないのではないでしょうか。

現役総理の著書をじっくり読むことで検証してみたいと思います。

安倍さんが著者として出している書籍は、共著を含めると基本的に以下の7冊です。

 
1『「保守革命」宣言― アンチ・リベラルへの選択』栗本慎一郎、衛藤晟一との共著 1996年10月、現代書林
2『この国を守る決意』岡崎久彦との共著 2004年1月、扶桑社
3『安倍晋三対論集 日本を語る』2006年4月、PHP研究所
4『美しい国へ』2006年7月、文春新書
5『新しい国へ― 美しい国へ 完全版』2013年1月、文春新書
6『日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ』百田尚樹との共著 2013年12月、ワック
7『日本の決意』2014年4月、新潮社

このうち実質的な単著は『美しい国へ』の一冊です。『新しい国へ』はその増補版。『「保守革命」宣言』は共著。『この国を守る決意』、『日本を語る』、『日本よ、世界の真ん中で咲 き誇れ』は対談本。『日本の決意』は総理大臣としてのスピーチ集なので、必ずしも本人が書いた原稿ではないでしょう。

石破茂さんや野田聖子さんに比べて、安倍さんは著書の少ない政治家であり、その著書も第一次安倍内閣以前に出版されたものが大半です。かつ、主著である『美しい国』も、過去の本などからのコピペに近い部分が散見されます。

そのため、ここでは比較的若い時期に、率直な意見を述べている『「保守革命」宣言』、『この国を守る決意』を中心に見ていくことで、安倍晋三という政治家の「地金(じがね)」の部分を明らかにしたいと思います。