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「ネトウヨ」「パヨク」の洗脳と攻撃から身を守る、3つの方法

「ネットは真実」の闇

意見に同意しない相手は「敵」

現象面からするとネトウヨ(ネット右翼)、パヨク(ネット右翼が左翼やリベラル派を揶揄、罵倒するときに使う呼称)は、互いに侮蔑し、憎悪し合っているように見える。物江潤氏が著した『ネトウヨとパヨク』はそうした双方の人々に通底する病理が存在する現実を解き明かそうとする意欲的作品だ。

1985年生まれの物江潤氏は、早稲田大学理工学部を卒業した後、東北電力に就職したが、2011年に松下政経塾に入塾した。評者は当時、松下政経塾の講師をつとめていた。物江氏は評者の言説に関心を持っていたようで、何度か意見交換をした。保守的政治信条を持ち、政治エリートに上昇しようとする強い意欲を持つ塾生が多い中で、物江氏は社会を強化することを考えているようだった。

 

現在、物江氏は故郷の福島で個別指導の学習塾を経営し、次世代を担う子どもたちへの教育に従事している。デジタルネイティブの子どもたちにネトウヨやパヨクが与える悪影響をいかにして脱構築していくかという問題意識から本書は書かれている。著者の誠実な姿勢が行間から伝わってくる。

物江氏は、ネトウヨやパヨクを反知性主義者ととらえるべきでないと考える。

〈反知性主義者を単に「知性を憎む人」と定義したうえで、彼らを反知性主義者だとするのは、どうも見当違いのように思います。

なぜなら彼らは頻繁に、敵対する相手の知性の程度を小馬鹿にする姿勢を見せるからです。知性を憎んでいるのであれば、相手の知性を馬鹿にすることはないはずです。でも、(中略)どうしたって知性そのものを憎んでいるとしか思えないコメントもよく見られます。矛盾がある、というよりも一貫性のない行動に映ります。

こうした状況に対し、憎んでいるのは知性ではなく単に相手であるとシンプルに考えれば、すっきりと整理できます。彼らは正義の味方ですから、意見に同意しない相手は敵です。敵を憎めば、敵の発する言葉も憎しみの対象ですし、敵を倒すためであれば、教養だろうが論理だろうが軽視しても問題ありません。敵を倒すために、時として知性を極端に軽視するような行動を取り、それが知性を憎んでいるように見えるのでしょう〉

初期ナチスの理論家だったカール・シュミットは、政治闘争に勝利する要諦は、敵と味方(友)に分節化し、味方は絶対に正しく、敵は絶対に間違っているという姿勢を貫くことであると主張した。

ネトウヨとパヨクは「友/敵理論」を無意識のうちに採用しているのだ。意図的、戦略的に「友/敵理論」を採用しているならば、利害得失について計算させれば、戦略を変更する可能性がある。しかし、ネトウヨやパヨクは、無意識にこの理論で動いている。「こう行動することが自然なのだ」と思い込んでいる人の信念を変えさせることは、かなり難しい。