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米・中・朝のド派手な駆け引きが、結局「成果ゼロ」に終わる可能性

世界はトランプに騙されているのか

「トランプ・マジック」に踊らされた

先週の主役は、米国のトランプ大統領だった。招待国を含めれば、28カ国もの首脳が大阪に集まったのに、彼らの出番は記念写真くらいと言ってもいいほどだ。だが、大統領がどんな成果を手にしたか、と言えば、実はほとんどない。

先週末の展開を読売新聞1面トップの見出しでおさらいすると、6月28日の朝刊は「習氏、来春国賓来日へ」。同日夕刊は「G20大阪開幕」で、主要20カ国・地域(G20)首脳会議の開幕を告げた。29日朝刊も「『大阪トラック』創設」である。

だが、G20ネタが1面トップを占めたのも、ここまでだった。

 

29日夕刊になると「米中貿易協議『継続』」と米中ネタに変わり、30日朝刊も「米、対中関税第4弾見送り」だった。7月1日朝刊は横凸版の大見出しで「米朝首脳 板門店で会談」、同日夕刊も「米朝協議 今月中旬にも」と米朝ネタが他を押しのけてしまった。

これほど大掛かりな国際会議が日本で開かれれば、会議の模様を微に入り細にわたって報じるのが、これまでのパターンだ。だが、今回は違った。ニュースの主役はG20ではなく、米国と中国、それに北朝鮮だったのである。

G20のテーマだった海洋汚染を引き起こすプラスチックごみ問題も、データ流通の国際ルール作りも、トランプ氏と中国の習近平国家主席、それに北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との会談が脇に吹き飛ばしてしまった。

たしかに重要度から言えば、プラスチックごみ問題よりも米中貿易戦争や北朝鮮の核・ミサイル、日本人拉致問題がどうなるか、の方がニュース価値は高い。では、米中や米朝の首脳会談が大きな進展を見せたのか、と言えば、それはなかった。

2つの会談の結論を一言で言えば、米中も米朝も「閣僚級協議を再開しよう」と合意したにすぎない。あたかも、世界が「トランプ・マジック』に騙された」かのようだ。中身は空っぽなのに、大々的に報じられたので、多くの人は「素晴らしいニュースが飛び出した」と思い込まされてしまった。

いまごろ、トランプ氏は「してやったぜ」と思っているに違いない。「中身なんか関係ない。世界はオレの一挙手一投足に注目しているんだ」と得意顔が目に浮かぶようだ。