道路に散乱している紙幣。価値がないので誰も拾わない。
# 新興国

ハイパーインフレで「地獄」と化したベネズエラ、そのヤバすぎる現実

「人口の1割」400万人が国外脱出!

ハイパーインフレ、殺人、略奪、破産…

ベネズエラという国の経済が破綻した。268万%というとてつもないハイパーインフレによって、国民はモノが一切買えなくなり、人々が蓄財してきた資産は一気に無価値となった。

その結果、とてつもない数の人々が国外に逃げ出している。それが中南米のコロンビアに住む私の隣の国、ベネズエラで起きている現状だ。

はじめに断っておくが、私はベネズエラに足を踏み入れたこともないし、ベネズエラの内政に関して専門家でもなんでもない。

しかし、これまで自分はメキシコ、パナマを旅する中で、そして今住んでいるコロンビアにおいて数多くのベネズエラ人の友人ができた。母国ベネズエラを離れ異国に住む、彼らベネズエラ人移民と実際に同じ屋根の下で生活を共にしたこともある。

彼らのリアルな生活を実際に傍で見てきたからこそ書けることがあると思い、筆を執った。

 

南アメリカ大陸の北端に位置するベネズエラ・ボリバル共和国。隣国にはコロンビア、ブラジル、ガイアナが位置する。資源が豊富で、原油埋蔵量はサウジアラビアよりも多く、世界最大と言われる。

photo by GettyImages

しかしこの資源大国の経済が破綻した。1999年に大統領に就任した元軍人のウゴ・チャベス前大統領と、2013年のチャベスの死後に後を継いだニコラス・マドゥロ現大統領の20年にわたる社会主義の失敗と腐敗、政権の徹底した反米政策と国内の圧政、さらには原油価格の急落が同国の社会と経済をボロボロにした。

食料やトイレットペーパー、紙おむつ、薬などのあらゆる物資が不足し、混乱を極め、略奪と殺人が頻発するなど、治安が極めて悪化しているという。水道・電気などのインフラの供給も度々ストップしている。

川から水を汲んでいる人々

ベネズエラの犯罪監視団体OVVが2018年12月27日に発表した報告によると、2018年のベネズエラの首都のカラカスの殺人発生件数は10万人あたり81.4件。なお2017年89件、2016年92件となっている。

ちなみにアメリカは5.4件、日本は0.3件(世界の殺人発生率・国別ランキング グローバルノートより)。なんと日本の300倍近い殺人が起きているのだ。

2016年より2018年の方が殺人件数が減少しているのは犯罪者がベネズエラを出国しているからとの見立てもある。ベネズエラ難民の中には路上生活、窃盗や強盗、売春やドラッグなどの貧困ビジネスに手を染めざるをえない状態に追い込まれている人もいる。

治安の悪化もさることながら、経済状況は悲惨を極める。ベネズエラの19年1月のインフレ率は268万%だという。ベネズエラの通貨「ボリバル」はもはや価値を持っていない。

昨年まで100円で買えたものが1月末には268万円になったわけで、もはや略奪以外に物を手に入れる方法はないのかもしれない。逆の見方をすれば268万円のカネが1ヶ月で100円の価値しかなくなったわけで、すべての国民が同時に破産したのだ。