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「闇営業」芸人とメディアに伝えたい「オレオレ詐欺」被害者家族のホンネ

謝罪よりも必要なことがあるはずだ
竹内 謙礼 プロフィール

謝罪よりも必要なこと

また、このような奉仕活動に従事することによって、世間の厳しい目は少しずつ和らいでいくのではないかと思う。芸人としてのブランディングも大きく落ち込むことにはらないし、早期復帰の理由づけにもなる。

普段、目にすることのできない有名な芸人を間近で見られることは、高齢者だけではなく地方都市の若者や子供たちの活気にも繋がるし、そういう人達が特殊詐欺を身近な問題として捉えさせることができれば、被害者だけではなく加害者の数を減らすことにもなる。

今回の闇営業問題で自粛している芸人たちが、自分の母親のように深く落ち込んでいるのではないかと思うと、気が気ではない。騙された自分を責め続けて、世間にも顔向けできず、その周辺にいる家族も辛くて暗い思いをしているのではないかと思うと、オレオレ詐欺の被害者から見れば、なんとかして助けてあげたいという思いがある。

だからこそ、謹慎中に少しでも表に出るような機会を増やせてあげることができれば、芸のブランクもなくなるし、ファンも見守ってくれるので、ゼロやマイナスからスタートするよりも正常な状態で芸能界に復帰することが可能になると思われる。

今回の闇営業の事件でテレビのコメンテーターが「芸人が謝らなくてはいけないのは特殊詐欺にあった被害者だ」というが、それも被害者の視点から言わせてもらえればズレているといえる。

芸人たちに謝って欲しいのではなく、むしろ自分が詐欺にあった時に責められた時の状況とかぶってしまうので、なんとかして自粛している芸人たちを助けてあげたいという思いのほうが強いのである。そして、自分達のような辛い思いをした人を少しでも救ってあげる力になってもらいたいというのが、私のようなオレオレ詐欺の被害者にあった家族の切なる思いでもある。

今回の闇営業に関するニュースをゴシップ的な記事で終わらせてしまうと、時間が経つにつれて視聴者の関心が薄れてしまい、記憶から消え去ってしまうだろう。これでは何の注意喚起も生み出さないし、今後は芸人ではなく、一般市民が反社会の人達に巻き込まれてしまうような事案が増えていくはずである。

そうならないためにも、自粛する芸人たちに対して攻撃的な報道を繰り返すのではなく、少しでもこの事件の教訓を世の中のために役立てるよう、前向きな話に切り替えていくことが、オレオレ詐欺の被害者の家族だからこそ願う思いである。

自粛や謹慎などの非効率的な方法で反省を促すのではなく、反省を新たな力に変える新しい活動をすることが、これからの時代には求められるのではないだろうか。