# 経済・ビジネス

なぜ日本人は、「ビジネスジェット」の重要性を解しないのか?

未来の空旅はどう変わるか・最終回
戸崎 肇 プロフィール

近年、政府はMICE(Meeting, Incentive, Conference, Exhibition, Events)、日本語でいう「会議観光」を進めようとしている。しかし、そのような会議には多くのVIPが海外から訪れることが前提である。

オリンピックがそのいい例である。その受け入れ体制が十分でなければ、日本での開催は見送られることになる。

 

事実、これまでも同様の理由で会議計画がキャンセルされたという話を耳にした。これは、富裕層を対象に誘致が進められようとしていう諸政策、たとえば「医療ツーリズム」についても同様である。

首都圏の大都市空港でビジネスジェットの受け入れ容量が拡大していくのが本来望ましいところではある。既存の空港施設がある程度利用できるからだ。しかし、特に東京にはその余地を確保することは難しく、またそうした政策的志向性もあまり見て取ることができない。

成田空港にはビジネスジェット専用ターミナルが設置・運用されているものの、ビジネスジェット先進国の運用に比べると、全く中途半端な状況に留まっている。そうであるならば、新たにビジネスジェット専用空港を建設・運用することを考えていかなければならない。

空域は混雑していることは事実であるが、先述のようなビジネスジェット利用者がもたらす経済効果に鑑みれば、従来の航空政策を一部修正してでもビジネスジェットの日本での普及・発展に努めるべきであり、そのためのインフラ整備は早急に進めていかなければならない。

「会議観光」を誘致するためにも(photo by gettyimages)

東京オリンピック対策として

欧米アジアには幾多のビジネスジェット専用空港が存在する。その中でもイギリスのファンボロー空港などは有名である。

今年の4月に上海で行われたビジネスジェット関連の商談会において、ファンボロー空港の経営者から話を伺ったが、それによると、ロンドン・オリンピックの開催に際しては、その4年前から、政府、空港運営者など、関係者の間で海外からのビジネスジェットの受け入れ体制の在り方について綿密な打ち合わせが行われていったという。

これに対して日本では、東京オリンピックを翌年に控えながら、そのような官民一体となったビジネスジェット受け入れのための体制が構築され、話し合いが行われているという話は寡聞にして聞かない。今すぐにでも、東京オリンピック対策としてのビジネスジェット受け入れのための協議を開始すべきである。

一方、こうしたビジネスジェットの重要性を、近年JAL、ANAといった既存大手の航空会社も認識し始め、ビジネスジェットを専門に扱う部署、あるいは会社を立ち上げ取り組み始めている。

しかし、こうした取り組みはまさにこれからの話である。さらに国も10年ほど前、一度は本腰を入れてビジネスジェットに取り組もうとした時期があったが、その後停滞していた感がある。

勢いを増す中国、またこの分野において日本に先行した韓国といった周辺アジア諸国にも差をこれ以上あけられないよう、迅速かつ強力な普及・推進体制をオール・ジャパンで構築し、実践していかなければならない。

さて、本連載も今回が最終回となった。

空をめぐる状況は目まぐるしく移り変わっている。今回は触れることができなかったが、ドローンや、それを応用した空中タクシーなど、これからもこの分野における話題は事欠かないだろう。またいずれ、今回のような分析を皆様にお届けしていきたいと思う。

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