「年収130万円の壁」を誤解してない? 損しているケースが続出中

老後2000万円時代を生き抜くために
黒田 尚子 プロフィール

妻の扶養に入ることを「拒む人たち」

現在は、治療をしながら、雇用保険の基本手当を受給中である。

一方、妻の陽子さんは、正社員で60歳の定年退職後も63歳まで継続雇用ができるという。60歳以降、年収は減るものの、しばらくは安定して働ける見込みだ。

今後の田中さんご夫婦の生活について、家計収支を見ながら、色々とアドバイスをしたのですが、お二人が頑なに「それはムリだと思います」と難色を示した提案があった。

それは、「一男さんが陽子さんの扶養に入ること」である。

 

現在、一男さんは、国民健康保険に加入し、国民年金第一号被保険者となっている。当然、年齢的に介護保険の被保険者でもあるため、介護保険料もかかっている。

仮に、年収100万円の場合(単身世帯)、介護分も含めた国民健康保険料は月額約6,300円(年額約75,600円)(全国平均の保険料率から試算)。国民年金保険料は月額16,410円(年額196,920円)(2019年度価格)。

合計すると、毎月約22,710円(年額272,520円)の社会保険料負担があることになる。

〔photo〕iStock

そして、陽子さんは、勤務先の健康保険組合の被保険者であるため、一男さんが陽子さんの被扶養者になれば保険料負担はなくなる(=ゼロ円になる)ため、このお金が節約できる。扶養家族が増えたとしても陽子さんの保険料がアップすることはない。

しかも、陽子さんが加入している健康保険組合には、手厚い「付加給付」があり、医療機関への支払いが25,000円を超えれば、組合独自の付加給付金として支給される(被保険者本人の場合は「一部負担還元金」、被扶養者の場合は「家族療養費付加金」)。

今後もしばらくは治療が続く予定の一男さんにとって、社会保険料の負担だけでなく、医療費も軽減できるわけだから、FPとして勧めない理由はない。

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