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# 消費税

消費増税が招く「深刻な分断社会」がMMT導入を現実化する可能性

鍵を握るのは雇用環境の動向だが…

もしも「再デフレ」に陥ったら

どうやら10月からの消費税率引き上げは予定通り実施されそうだが、反対論は依然として根強い。

政府与党は、子育て支援等の社会保障の充実に充てることを強調しているが、国民の不満はおさまりそうもない。それゆえか、最近の主要メディア各社の実施する世論調査では内閣支持率が軒並み低下している。

国民の不満は、もちろん消費税率引き上げにも向かっていると思われるが、これに拍車をかけたのが、例の「2000万円問題」である。

もっとも「公的年金だけで『充実した』老後を満喫できない」という点については、ほぼ全ての国民が頭の中では理解していただろうということは想像に難くない。だが、今回はタイミングがあまりに悪すぎた。「ひょっとしたら延期されるかも」と思われていた消費税率引き上げの予定通りの実施がほぼ固まったタイミングでこの「2000万円問題」が浮上してきたためだ。

これでは「社会保障を充実させるために今の生活をある程度犠牲にしても消費税率引き上げが必要なんです」と頼み込んだ直後に「それでも社会保障は不十分だから、国民自らの責任で勝手にお金を貯めてください」と掌を返したようなものである。普通の人間であれば愚弄されたと感じ、怒るのは当たり前である。

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今回の参議院選は、前回、自民党が圧勝した時の議席が改選されるということで、ある程度の議席減は仕方ないという側面もあるだろうが、国民の怒りをうまく鎮めることができなければ、議席減が意外と大きくなる可能性も浮上している(ただし、現時点でニュース等をみる限り、野党もいまひとつ攻勢を強めていないため、「お灸を据える」という意味での小幅減にとどまる可能性もあるが)。

ところで、10月からの消費税率引き上げに対する反対論の大きな理由は、「景気の失速リスクの増大」である。中には、今回の消費税率引き上げによって、「日本経済が自らリーマンショック級の景気失速をもたらしかねない」と警告する識者もいる。

 

筆者は、消費税率引き上げがいきなりリーマンショック級の危機を日本経済にもたらすとは考えていないが、これまで紆余曲折ありながらも進捗してきたデフレ脱却の流れが潰えてしまうリスクを感じる。もし、再デフレのリスクが台頭した場合、これを払拭させるだけのパワーが金融政策に残っているとは思えないからだ。

消費税率引き上げ後の日本経済の状況次第では、「MMT(現代貨幣理論)」のような極端な政策を採らざるを得ない状況に追い込まれることも想定しておく必要が出てくるかもしれない。それは「形を変えた戦前日本の再現である」と考えるので、筆者はあまり肯定的ではないが、可能性としては十分にあり得る話である。

そこで、今回は、消費税率引き上げを目前にした現在の日本経済の状況を整理しておこう。