# ビジネススキル

「25年間、一度も締め切りを破っていない」凄腕ライターの時間術

ヒミツは「小分け」と「時間割」にあり
上阪 徹 プロフィール

「遊び」の時間を先に確保する

私は今もたしかにたくさんの仕事をしています。では、仕事ばかりしているのかというと、そんなことはありません。

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書籍の仕事が中心になってからは、外で食事したり、飲みに行く回数も増えました。こうやって原稿を書いているこの月は、5回も会食やら飲み会が入っていました。

もっというと、4泊5日のアメリカ・シリコンバレー出張、さらには3泊4日の地方出張(実は故郷の地場産業である鞄産業を取り上げる企画で故郷に出張)も入っていました。

そしてもちろん、土日も休みます。3連休もしっかり休み、翌週の土日は軽井沢に家族で遊びに行っていました。

どうしてこんなことができるのかというと、先にスケジュールを入れてしまうからです。

もちろん仕事は大事。ですから、大まかな仕事のスケジュールは見えています。その上で、自分がやりたいこと、さらには出張などの予定を入れてブロックしてしまうのです。

そうすると、残りの時間が算出できます。それを仕事に充てる。逆にいえば、残った時間でできない仕事は引き受けない。時間的にオーバーフローを引き起こしてしまうからです。

これを、「仕事をやって、残った時間を楽しみに充てよう」と考えてしまうと、こうはなりません。仕事の予定がどんどん埋まってしまい、遊びの時間は作れなくなる。

取材で聞いた話ですが、お金が余ったら貯金しよう、と考えてもお金が貯まらないのと同じことです。本気でお金を貯めようと思ったら、強制的に一定額を引き落とししたほうがいいのです。

余ったら貯めよう、などといって、貯められた人はまずいない、とマネーの専門家は語っていました。楽しみの時間を確保するのも、同じこと。先にブロックしてしまえばいいのです。

 

ただ、このときに「小分け」「時間割」ができていないと困ったことになりかねません。

締め切りまでのプロセスが見えていないことになるからです。どのくらい時間がかかるのか、いつやるのか、本当にできるのか……。

それがわからない中で、楽しみの時間を入れてしまうことは極めて危険です。それこそ私など、怖くて入れられないし、そもそも遊びが楽しめない。

先に時間をブロックできるのは、「小分け」「時間割」で締め切りまでにやるべきことがきっちりわかっているからです。やるべきことをしっかりやれば、締め切りまでに仕事を終えられることを理解しているからです。

そして私は、強制的にでも、この「楽しみの時間」「やりたいことの時間」「休みの時間」を入れなければいけないと思っています。ただひたすら仕事に向かっていたら、さすがに疲弊してしまいます。それが、クオリティの高い仕事を生み出すとはとても思えない。

気分転換、リフレッシュをする。新しい環境や人との会話で新しい刺激をもらう。それが、仕事にプラスになる。

実は私は同業者や同じ業界の人とも、あまり遊びません。担当編集者と飲むこともほとんどありません。同業者とつるんでも、得られることは限られると思っているからです。

それよりむしろ、そうでない人たちと関わったほうがいい。

一見、仕事にまったくつながらないようで、実はそのほうが長い目で見れば価値をもたらすことが多いと私は思っています。