損保ジャパン「介護への配置転換」次に同じことが起こる会社はここだ

この流れは止められない
加谷 珪一 プロフィール

もちろん社員にはそれぞれ適正があるので、これまで金融営業に携わっていた人が、すぐに介護業界で活躍できるとは限らない。だが、一生涯の雇用を企業に求めるのであれば、労働者側も、企業内での転職をある程度、受け入れなければ、制度の維持が難しくなってしまう。

今後、こうした措置を実施する企業が増えてくると予想されるが、業種によって企業内転職の度合いには差が出てくると考えられる。

では、今後、似たような社内転職が実施されるのはどのような業界だろうか。あくまで推定だが、損害保険会社や銀行が置かれている状況を整理すれば、おおよその方向性は見えてくるはずだ。

損害保険会社と銀行に共通する経営環境というのは、イノベーションによって市場の縮小あるいは競合の参入が見込まれていること、既存業務の自動化が容易であることの2点である。あくまでひとつの例だが、この条件にバッチリ当てはまる業態のひとつが情報システムの構築・運用である。

 

情報システムの業界は金融業界とソックリ

情報システムの構築や運用を請け負う企業のことをIT業界では、システム・インテグレーター(SI)と呼ぶが、この業態が置かれている状況は、金融業界とうりふたつである。

情報システムのビジネスは、業界大手が顧客企業から元請けとして業務を受注し、下請けの企業に仕事を割り振るなど、ゼネコンに近い商慣習として知られている。システム開発には先端的なイメージがあるが、実際には、極めて労働集約的であり、生産性はあまり高くない。

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こうした中で、一気にシェアを拡大しているのが、アマゾンやマイクロソフトが提供するクラウドサービスである。アマゾンのクラウドサービスには、企業の情報システムが必要とする機能が最初から実装されており、企業はそれをカスタマイズするだけで、自社の情報システムを構築できてしまう。

システムをゼロから請け負って開発するやり方に比べて、圧倒的に短期間、かつ低コストで実現できるため、多くの企業がアマゾンのクラウドに自社システムを移管している。今後、システム・インテグレーターにシステムの開発や運用を丸投げする企業は減ってくる可能性が高く、このビジネスは市場縮小が予想されている。