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なぜ今? 出版社が「クラウドファンディング参入」の深い理由

「BBO」とは何か、開発者は語った!

なぜ「ブルーバックス」が新ビジネスを?

講談社がクラウドファンディングビジネスに参入するらしい。

突然、こんなニュースが入ってきた。

しかも、聞くところによると、科学新書ブランドである「ブルーバックス」も一枚噛んでいるらしい。

ご存知ない人のために説明すると、クラウドファンディングとは、「製品や企画のアイディアを持っている人が、インターネットを通じて資金の提供を呼びかけ、集まった資金が目標額に達した場合、この資金を使って製品やサービスを支援者に届ける」という仕組み。もともとは資金不足に悩む中小企業などが主に利用していたが、最近はミュージシャンなどのアーチストや、大企業にもこの仕組みを新たな商品開発に活用するケースが増えてきた。

講談社としても時代に乗り遅れたくない気持ちはわかるとはいえ、そこで手を組むのが、金融やビジネスとは水と油の印象があるブルーバックスというのは、どうにも解せない。

しかも、サービスの名前は「ブルーバックス・アウトリーチ」

BBO「ブルーバックス・アウトリーチ」はオープン記念企画として、「モーニング」で連載中の人気科学コミック『惑わない星』『はじめアルゴリズム』とコラボ。描き下ろしイラストによるオリジナルグッズや、著者サイン色紙の企画などをご用意!

「ブルーバックス・クラウドファンディング」としなかったところにも、なにやら意味がありそうだ。

さっそく、新たなサービスの中身について、発案者である講談社第一事業戦略部事業戦略チームの長尾洋一郎さんに話を聞いてみることにした。

「講談社の科学新書シリーズ『ブルーバックス』は、『科学をあなたのポケットに』をスローガンに、これまで半世紀以上にわたって、一般の読者と研究者のみなさんの間をつなぎ、科学をコンテンツとして楽しんでいただきながら、その普及に資するべく出版活動を行ってきました。

また、一昨年よりウェブメディアの『現代ビジネス』と組んだことで、書籍化に結び付かないコンテンツも発信するようになった。つまり、『ブルーバックス』は科学メディアのブランドになっています。

このブランドとしての力を生かしてこの先、何ができるか。

そこで、他の科学メディアと差別化をすすめ、唯一無二の存在を目指す取り組みとして、まったく新しいクラウドファンディングプラットフォームの『ブルーバックス・アウトリーチ(以降、BBO)』を立ち上げることにしたのです」(長尾さん、以下同)

なるほど。新しい可能性を広げるのが目的なのはわかるが、それがなぜクラウドファンディングなのか。

実はここには過去の経験が影響しているという。

長尾さんは現職に就く以前は、ウェブメディアの現代ビジネス編集部に所属、その前は「週刊現代」、さらに遡ると書籍の編集部に籍を置いていた。そんな中で日々、こんな疑問を感じていたという。

「講談社は、目の前にある『コンテンツの種』のすべてを、充分に市場へ問えていないのではないか?」

書籍化できないけれど届けたい研究もある

週刊誌の編集現場では毎週多くの記者や編集担当者が取材をする。しかし、そのすべてが誌面に反映されるわけではない。

最近は一定の分野の記事をまとめたムックを出版することで、週刊誌の誌面では生かせなかったものをすくい上げる取り組みも進んできたが、それにも限界はある。これは会社にとっても大きな損失なのではないか、と。