ドクター笑ってるから大丈夫だね

患者の顔見て笑うとか本当に意味がわからず、困惑していたら隣に座っていた母親がボソッと
「ドクター笑ってるから大丈夫だね。あー良かった!」

ん?

まだ顔が動かない原因がわからないのに大丈夫なの? 医師が笑っただけで判断する母親もこの空気感にやられたのか?

そのポジティブなノリになかなか乗れない「顔面停止中」の私が診断されたのは、

ベル麻痺。

病原菌でリンパが腫れ、それが神経に触って顔面が麻痺する病気でした。原因は不明だが、たぶん何かのウィルスだろうとのこと。免疫力が低下してる人がなりやすいのだそうです。大半の患者は顔の半分が麻痺し、数ヵ月後には自然に治るのだとか。適切な治療はないため、妊娠中でも飲める抗ウィルス剤を処方されました。

「多胎児を妊娠している女性はとてもなりやすい、けれどベル麻痺になったことで赤ちゃんには影響はないし、出産すれば自然と治る」

そう言われてほっとしました。

しかし!治るからって、やっぱり人の顔みて悪うのはとても失礼!笑った理由を医師に聞いてみたら、

「ベル麻痺の患者さんは何人もみてきてるけど、ここまで綺麗に半分だけ動かない人は初めて見たから思わず笑ってしまった」

そういえば昼ごろから自分の顔を鏡でみていなかったので、手鏡を覗き込んでみると……。
本当に左半分が綺麗に動かない。笑っても左だけ無表情。普通に微笑んでみても、実際はかなりホラー。

注:めっちゃ笑っているつもりです 写真提供/山田ローラ

医師が笑うということはそれほどシリアスな病気ではないはずとはいえ、モデルを仕事としてきた私にとっては地獄そのもの。当時ウェディングやビューティーのお仕事をメインでしてきたこともあり、思うような笑顔がつくれないことに対してかなり精神的なダメージを受けました。

もし出産しても治らなかった場合、子供達はママの笑顔を見ることはありません。モデルの仕事はもちろんできません。今後の人生に希望が持てなくなりつつありました。