ハンセン病家族「画期的勝訴」社会を動かすきっかけは一冊の本だった

真に過ちを認め、記憶するために
崎山 敏也 プロフィール

ハンセン病問題は、終わっていない

今回の判決は、ハンセン病患者・回復者の家族への被害が認められる画期的なものであり、またすべての原告に対してではないにせよ、国の法的責任も明らかにされるものでした。

 

これから、国が控訴するかどうかはわかりません。しかしいずれにせよ、国は今後、ハンセン病に関するよりきめ細やかな啓発活動を行うことを求められます。

ハンセン病問題はまだ、終わっていない――。必要なのは、「ハンセン病は感染力が弱く、遺伝する病気ではない」ことや、「現代の日本では新規の患者はほとんどおらず、たとえ発症しても完治する」ことを啓発する活動だけではありません。

現在あるハンセン病療養所の入所者への介護や医療の質を維持すること。それと同時に、入所者の減少を踏まえて、療養所を地域に開いてゆくこと。その歴史的遺産を維持し語り継ぐこと。地域でも、ハンセン病を語ることができる人を養成すること。

病気の「知識」だけでなく、「場所」と「人」がともに受け継がれて初めて、私たちの社会は真の意味で、過ちを記憶できるのではないかと思うのです。