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日本の憲法学者だけが使う「奇妙な言葉」に多くの人はダマされてきた

日米安保条約を見直すかどうかの前に

ベルサイユ条約締結から100年

大阪G20が終わった。直後にトランプ・金正恩会談が板門店でサプライズ開催された。

大阪から板門店に至るまで、主役はトランプ大統領だった。日本はホスト役として手堅くまとめたとは言える。

しかし、朝鮮半島情勢も、日米安保条約も、トランプ大統領の様子を見ていると、今後どう展開していくか、わからない。

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G20開幕日の6月28日は、たまたまベルサイユ条約締結100周年の日であった。日本と「ベルサイユ体制」の関係は、苦い。

ベルサイユ条約とあわせて調印された国際連盟規約で、日本は連盟の常任理事国となり、英・仏・伊と並ぶ大国の地位を得た。

しかしやがて満州事変以降の一連の対外行動が原因で連盟を脱退した。そして第二次世界大戦では、国際連盟を崩壊させる「敵国」となった。

その日本が2019年にホスト国としてG20を成功させたことは、まずは喜びたい。ベルサイユ条約から100年経った地点の日本の国際社会での立ち位置は、悪くはない。

 

第二次世界大戦後の荒廃から立ち上がった日本は、平和主義をかかげる経済大国となった。冷戦終焉直後には、その経済力が一つの脅威ではないかとみなされたときもあったが、幸か不幸か、その後の経済的な低迷によって、穏健な経済大国としての評価を確立した。

私の専門は国際平和活動である。日本の外交政策を専門にしているわけではないが、日本人である以上、日本による国際平和活動にも関心を持っている。

30年ほど前の冷戦が終わった頃、まだ大学生だった私は、日本が国連安全保障理事会の常任理事国を目指し、国際平和協力活動への貢献を充実させることを、当然と考えていた。

だが、2019年の今日、常任理事国入りの野心のみならず、日本の国際平和協力活動への積極的な参画すら、もはや過ぎ去った夢のように感じる。

南スーダンの国連平和活動に参加するだけで、「軍国主義の復活を許すな」といった頓珍漢な非難に遭遇し、撤収してしまう。学者なら、論争してもいい。だが政治家や官僚が「面倒」を避けたがり、活動を手控えるのは、どうしようもない。

「積極的平和主義」という言葉もめっきり聞かなくなった。そのことを責めようとは思わない。目指しても国民の間で人気が出るわけではない。G20をホストするだけでも、立派な国際貢献だとは思う。今は日本では、身の丈にあわない夢は見ない方がいいということだ。

だがそんな日本でも、新しい時代に向かっていくための準備は続けなければならない。