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損保ジャパン社員「介護へ配置転換」次はあなたの会社かもしれない

サラリーマンの「生き残る力」について
鏑木 邁 プロフィール

全国紙社会部記者が業界の実情についてこう解説する。

「正直、ワタミの介護もメッセージも、まだ業界的にはマシな方だったんですよ。名前が売れていただけにマスコミには叩かれましたが、入居費用を抑えている点などを考えると、サービスのレベルは高い部類に入ります。

そのクラスの老人ホームでこの状況ですから、地方などの中小業者の実情は推して知るべしです。入所者に食事をろくに与えないケースも少なくなく、表面化していないケースがほとんどと考えて間違いないでしょう。

勘違いしないで欲しいのですが、介護業界に入る人材が悪いのではなく、劣悪な労働環境のために、現場に様々なひずみが出ていることが問題なのです。日本の若者が業界に入ってこないのであれば、外食業界などのように、外国人材の受け入れを早急に進めるべきでしょう」

 

「先行事例」となるのか

今回のSOMPO HDの削減策について、外資系証券アナリストは「先行事例になるかもしれない」と分析する。

「実は、SOMPO HDがワタミの介護を買収した価格は約210億円、メッセージが約350億円で、投資額は合計約560億円。それに対して、今回の削減策によって人件費を年間100億円削減できる上、会社都合退職だった場合に4000人に支払うはずだった退職金400億円も浮かせることができる。つまり、2年もすれば投資分を回収できる計算になります。

もちろん、介護に転籍した社員がきちんと利益を上げてくれれば言うことはないし、自主退職で辞めてくれれば、なおさら人件費が削減できる。誰が考えたか知りませんが、経営を改善するという一点においては恐ろしく洗練されていて、見事としか言い様がないスキームです。

SOMPO HDは高齢化社会で『介護業界に勝機を見いだした』と公式にも言っていますし、それは嘘ではないでしょう。ただ、今後は、このやり方をマネて、警備や外食、介護など人手不足の業界に異業種から進出し、そこを人員整理の『追い込み部屋化』する動きが進む可能性も否定できない。