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「終身雇用に後ろ向き」はトヨタ自動車の躓きの石となる

トヨタをトヨタたらしめるものとは

おごれるものは久しからず

日産、三菱、ルノー、フィアット・クライスラーなどと比べてトヨタ自動車がどれほどすぐれている会社かは、当サイト6月5日の記事「FCAのルノー買収は世界自動車再編の序章だ!」などで述べてきた。

筆者の見るところでは、最終的に世界の自動車メーカーが旅客機メーカーのボーイングとエアバスのように2社(あるいは3社)程度に再編されていく中で、トヨタはほぼ確実にその中の1社に残ると考えている。

しかし、「油断大敵」と豊田章男氏が危機感を抱くのもよくわかる。業績が好調なのに役員の報酬を10%カットするという手法は問題があるが、「危機意識の共有」を図りたいという意図は十分理解できる。

 

そもそも、トヨタ成功の大きな要因は、1973年と79年の2度にわたるオイルショックのおかげで米国市場において低燃費の小型車が爆発的に売れたことにある。

トヨタをはじめとする日本勢の品質が良く低価格で低燃費の小型車が大躍進しただけでなく、ドイツ勢のフォルクスワーゲンなども絶好調であった。

それまで米国市場の王者として慢心していた米国ビッグ3は、シェアを一気に奪われたことに慌てて小型車を開発したのだが、どのメーカーの小型車も「粗製乱造」あるいは「安かろう・悪かろう」といった代物であった。

結局、安全上の問題がほとんどすべての車種(小型車)で生じ、大規模リコールなどの財政負担と信用の失墜でビッグスリーは窮地に追い込まれた。

「おごれるもの久しからず」という平家物語の言葉は日本人のDNAに刻まれているが、トヨタ自動車もその言葉をじっくりとかみしめる時期なのかもしれない。