# ハラスメント

「#KuToo」運動を「女のわがまま」で片付けてはいけないワケ

これは重要な労働問題である
竹信 三恵子 プロフィール

「クーツー運動」が問題にしているもうひとつの労働問題は、「会社の都合」に合わせて耐えることを「職業意識」とする「ブラック&ホワイト企業」路線の中で、このような、従業員の生産効率を考慮した最低限の選択のための規定づくりさえ考慮されていない職場が少なくない、ということだ。

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今回横行している「わがまま」批判では、「男性も革靴やスーツ、ネクタイに苦しんでいる」とし、男性が我慢しているのだから女性も我慢すべきだ、という主張が繰り返される。

男性の革靴やネクタイによる苦痛と、ヒール・パンプスによる足の変形・腰痛が同程度のものなのかについてはもちろん検討が必要だが、いずれにせよ、会社のニーズと働き手の働きやすさを折り合わせる現実感覚が会社にあれば、男性も女性も我慢しなくてすむ仕組みがとっくに登場しているはずだ。

 

ところが、「ブラック&ホワイト企業」の土壌では、企業別労組は「会社の一部」(野村)としての「従業員組合」(野村)であり、こうした少数派にとっての現実感覚は「一体感」を削ぐマイナス要素とみなされがちだ。

もちろん最近では、企業別ではない「ユニオン」などの新しいタイプの労組も輩出している。だが、これを合わせても、会社に対する働き手の異論を伝えるパイプであるはずの労組の組織率は、17%に下がり、しかも、働く女性の過半数は非正規で、労組内での発言力は弱い。

だからこそ「クーツー運動」は、社内での話し合いで折り合いをつけることをあきらめ、電子署名で厚労省に通達を求めたのだ。