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# ハラスメント

「#KuToo」運動を「女のわがまま」で片付けてはいけないワケ

これは重要な労働問題である

「#KuToo(クーツー)」の名で知られるヒール・パンプス強制への反対運動に、共感が広がっている。それに対してネットで「女のわがまま」論が出回る一方、国会では、「労働安全衛生の観点から配慮が必要」という厚労相答弁が出され、これが「労働問題」であることが、ようやく公式化され始めた。

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パンプス強制は、なぜ労働問題なのか。なぜそれが、執拗に「わがまま」扱いされ続けるのか。背景にあるのは、日本企業がはらむ「ブラック&ホワイト企業」体質だ。

ポイントは「労働安全衛生」

「クーツー運動」は、セクハラ反対運動の「#MeToo」(「私も」の意味) をもじり、「靴」と「苦痛」をひっかけて名付けられた。

派遣会社を通じて葬儀社でアルバイトをしていた俳優の石川優実さんが、会社側から5〜7cmのヒール・パンプス着用との指導があり、ヒールで長時間立ち仕事を続ける苦痛をSNSで「なんで足怪我しながら仕事しなきゃいけないんだろう、男の人はぺたんこぐつなのに。」などと発信。#KuTooのハッシュタグが生まれた。

 

石川さんは、女性のみヒール・パンプスを強制されることは「性差別」であり法規制されるべきと意見を投稿したところ、女性たちの間に共感が広がり、6月3日には1万8000を超す署名を集めて厚労省に提出している。

根本匠厚労相は同月5日、国会で、この問題についての尾辻かな子議員の質問に答え、「労働安全衛生の観点からは、腰痛や転倒事故につながらないよう服装や靴に配慮することは重要」と答弁し、これが労働問題であることを明言している。

ところがネット上では、「嫌ならやめれば良い」「合う靴を見つけられない自分が悪い」など否定的な意見が増え、ブログに「女のわがままを女性差別にすり替えじゃないのか#KuToo(クーツー)運動」の批判記事が出るなど、「わがまま論」も噴出。

石川さんの職場の葬儀社を特定しようとしたり、石川さん個人を誹謗中傷する投稿も出てきた。

これらの「クーツー運動」批判でしばしばみられたのは、「周りの様々な状況を見たうえで、葬式中にハイヒール等を履かない、履きたくないと言う人間は職業意識が低いと言われても文句が言えない」など、仕事上での要請があるのにそれを理解せず自分の好みを押し通そうとするのは社員としての自覚が足りない、という意見だ。