〔PHOTO〕iStock

独仏のプレッシャー受けても緩和へ前向き…ドラギECB総裁の腹の中

まだまだ金融緩和は続く

本年10月、ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁は任期満了を迎える。後任人事への関心が高まる中で、ドラギ総裁は急速に金融緩和に向かう姿勢を示し始めた。ドラギ総裁はユーロ圏経済の先行き懸念が高まる中で、ECBが金融緩和によって域内の景気を支える覚悟があることを明確に示そうとしている。

事実上、ユーロ圏経済はECB頼みの状況にある。本来なら独仏が中心となり、預金保険制度の一元化や共通予算の導入などを進めなければならない。ところが、ここへ来てドイツの政治・経済はぜい弱さを増している。各国の政治不安定感は高まり、改革を進めることは難しい。ドラギ総裁は金融緩和で当面の景気を支えるために、地ならしを進めているとみるべきだ。

 

金融政策の正常化をあきらめたECB

6月に入り、ECBは金融政策の方針を大きく変えた。6日の理事会でECBは“2020年上半期まで金利を据え置く”とした。しかし、18日にドラギ総裁は、金融緩和を積極的に進める用意があるとの考えを表明したのである。これは、事実上、ECBが金融政策の正常化をあきらめたことを意味する。

ドラギ総裁は任期までの限られた時間を最大限に使い、当面のユーロ圏経済を守るためにできることはすべてやっておこうと考えているのだろう。同氏は、ECBが金融緩和に踏み切る以外、ユーロ圏の経済を守るすべは見あたらないと考えているようにさえ見える。同時にドラギ総裁には、金融政策の正常化を重視するドイツの機先を制する狙いもある。

歴史的に、ドイツの社会心理には、過度な金融緩和や資金供給が“ハイパーインフレ”につながるとの懸念が強い。次期総裁候補と目されている独連銀総裁のバイトマン氏も、かねてよりドラギ総裁の緩和重視姿勢に反対してきた。メルケル独首相はフランスに譲歩して欧州委員会の議長席を譲り、代わりにドイツからECB総裁を送り込もうとしているようだ。

ドラギ総裁〔PHOTO〕Gettyimages

もし、バイトマン氏がECB総裁に就任すれば、市場参加者は金融政策の正常化を警戒する。その場合、ドイツを中心にユーロ圏各国の金利には上昇圧力がかかるだろう。金利上昇はイタリアの財政懸念をさらに高め、ユーロ圏の金融市場が動揺する恐れがある。ドラギ総裁はそうした懸念を抑えるべく、金融緩和への布石を打っている。

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