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年収180万円の若者が「年金300万円の老人」を支える日本の絶望

格差社会ニッポンの正しい歩き方
鈴木 貴博 プロフィール

年収180万円の若者が、年金300万円の高齢者を支える

外食チェーンで小型端末を手に注文を取る従業員、携帯電話の販売店でタブレット端末の指示通りに契約プロセスを処理する従業員、コンビニで端末の指示通りに発注業務をこなすアルバイト……。

本当は高度なレベルの仕事を、非正規労働者が配置初日からこなす。そのような仕事はどんどん増加しています。

高度な仕事でも、誰でもこなせる仕事であれば報酬レベルは高くはない。だからマックジョブは最低賃金に近い仕事ばかりになります。そしてそのような仕事を若者や外国人労働者が担って社会が成立している。年収180万円の若者が、年金300万円の高齢者を支えるといういびつな社会が出現するのです。

 

さて、最近もうひとつ話題になったニュースがあります。金融庁の「老後2000万円問題」です。こちらも審議会の報告書にこれから先の世代は月5.5万円の収入が不足するとか、豊かな老後を迎えるためには引退までに2000万円の資産を貯めておく必要があるといったことが書かれていたわけですが、これが従来政府が唱えて生きた「年金100年安心」というキャッチフレーズと矛盾するということで炎上したものです。

こちらも表面的には「これから提出されるところだった報告書の受け取りを政府は拒否した」ということで、公式な報告書ではないから問題ではないという解決になりました。むしろそのような「草案」が提出されたことに諸大臣は不快感を示しているぐらいです。

〔photo〕gettyimages

しかし、ここからわかる簡単で深刻な問題があります。それはこの報告書がたぶん正しいということです。

日本は深刻な少子高齢化時代に突入しています。今のように働く世代が高齢者世代を支えるという仕組みはおそらくもうそれほど長くはもたない。親切な金融庁の審議会はそれを国民に伝えようとしたのですが、今回、政府の判断でそれは国民にはまだ伝えないことに決めた。これが深層の問題です。