日本株市場、いまシンプルに安定的なリターンを得られる方法がある

その名は「クオリティ押し目買い」戦術
大川 智宏 プロフィール

「バリュエーション格差」の時代

さて、問題はなぜこのリターンとキャッシュの組み合わせにおいて、短期的に下落し、かつキャッシュリッチである銘柄だけが高いパフォーマンスを出し続けるのかという点だ。その背景として重要なのは、この数年間で市場内のバリュエーションの格差が拡大し続けていることだ。

たとえば、高PERの銘柄はその後もそのままPERが切り上がり続け、低PERの銘柄は低PERのまま放置され続けるという現象であり、過去に例がないほど高低の格差は拡大を見せている。

 

そして、この市場内バリュー格差の拡大の要因として見逃せないのが今回の「クオリティ」である。つまり、ネットキャッシュを基にすれば、キャッシュリッチで質の良い銘柄はPERが切り上がり続け、負債が多く質が悪い銘柄のPERは放置され続けることになる。実際に、PERの値の高低に基づいて分位別(4分位)に銘柄群を分け、各群のネットキャッシュ/総資産を平均すると分かりやすい。

図:PERの分位別 ネットキャッシュ/総資産の平均値

拡大画像表示出所:Datastream

そして、重要なのは、質の高い銘柄のバリュエーションが高騰し続けているということは、それだけこの属性の銘柄群に「ロング(買い持ち)側」で張り付いている投資家が多く存在することになる点だ。

質の低い銘柄は、もちろんショート(空売り)で仕掛ける投資家勢もいるとは思うが、基本的に積極的な投資対象とならず、多少の値動きが発生しても一貫した方向性が出にくいことは容易に想像がつく。しかし、高クオリティ銘柄は、常に多くの投資家の興味の対象となり、買う機会を待ち望んでいる多額の資金が存在している可能性が高いからこそ、PERが高騰しているのである。

そのような状況下で、コンセンサス予想のネットキャッシュが高く保たれたままで、利食いなどで一時的に株価が下落した場合、そこに押し目買いが入りやすいのは当然のことだ。