アメリカという「狂信的な国」はどんなふうに生まれたか

『ファンタジーランド』を読む(前編)
堀井 憲一郎 プロフィール

進化論問題は、言い方を変えれば、フェイクニュースを信じてどこが悪い、ということになる。かつては、いや、悪いだろう、と即答できたのだが、アメリカ合衆国の大統領をドナルド・トランプが何とかつとめている今となっては、即答できなくなってしまう。

あの大統領は、本当のニュースとウソのニュースの区別をどんどん曖昧にし続けている。その手法で自分の意志を通してしまう。これはこれでありなのか、とおもってしまったが最後、みんなもとに戻れなくなってしまう。アメリカは理想を追う国という部分を捨てて、「信じたいものを信じればいいのだ」という部分を強く持つようになってきている。

そしてそれはドナルド・トランプが始めたことではない。1620年にメイフラワー号がやってきたときから始まったことだったのだ。そう当書は指摘する。

 

建国の頃からの精神

なぜ、アメリカはなぜ独善的で狂信的なのか、『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史』によればそれは建国以来ずっとそうだったから、なのだ。そういうふうに生きたい人たちによって、この国は作られたのだ。

アメリカ(新大陸の北部)への入植は、1580年代から1590年代、日本でいえば信長から秀吉の時代に始まった。

それは「黄金がたくさん出る。またアジアへすぐに抜けられる海路がある。だから新大陸へ行って金儲けをしよう」というフェイクニュースから始まった。当書の説明によるとそうである。山師がどんどん新大陸に上陸していったのだ。山師は冒険家、探検家とも呼ばれるが、要は一攫千金を狙ったギャンブラーであることには変わりはない。

イングランドを始めとした旧大陸から、大勢の人間が「黄金」を探して上陸した。

でっちあげ情報だったので、どんだけ探しても出てこない。金も銀もトルコ石もまったく出てこなかった。出てくるわけがない。

また、アジアへ抜ける航路を冒険家たちが探してまわったらしい。

ジョン・スミスはポトマック川を遡ってみたが、70kmほど進んだところで断念した。太平洋に抜けるにはあと4000kmほど足りていない。またヘンリー・ハドソンもハドソン川を北上していったが(この冒険によってこの河川はハドソン川と呼ばれるようになった)、ニューヨークから北へ北へと進んでしまい、太平洋にはたどり着けなかった。(西に進んだほうがよかったとおもう)。アジアへ抜ける海路ルートはついに探しだされなかった。

アメリカは、じつはこの「フェイクニュースに浮かれた連中」によって始まったのである。