「地方」と「地方銀行」はなぜ衰退するのか?

若者の邪魔をしない社会が必要
大原 浩 プロフィール

地方銀行のコンビニオーナー化

一時期は成長産業としてもてはやされたコンビニが曲がり角に差し掛かり、「24時間営業」を維持する過酷さもしばしば取り上げられる。

このコンビニオーナーたちと、地方銀行の姿がどうしても重なる。

コンビニのオーナー経営者は形式上「一国一城の主」ではあるが、仕入れ、POSなどの情報管理、商品戦略、広告(CM)戦略など、ほぼすべてを本部に依存している。だから、実際に売り上げを稼ぐのがコンビニオーナーであるのにもかかわらず、その力が弱く、逆に本部の力が強大なのだ。

地方銀行も、現場の最前線で顧客と接し売り上げを稼いでいるのだが、ほとんどノウハウが無く、全国的な企業に頼っている。

例えば、M&A。最近は跡継ぎがいないなどの理由で会社を売却するケースが増えているが、1つの県の中でのM&Aの数は限定的で、専門の部署を立ち上げるのは難しいし、そもそも行員の中にM&Aの複雑な事務処理を扱える人材がいないから、結局全国的なM&A専門会社の「代理店」となって、細々と案件を紹介するしかない。

日本M&Aセンターなど、専門の仲介会社は驚くほどの利益を上げているが、地方銀行がもらえるのはそのおこぼれだけである。

 

また、根幹ビジネスであるはずの融資においてもこの傾向が堅調だ。

融資においては、相手先が融資に適しているかどうか、融資限度額の設定はどれくらいまでかを決める「審査」が極めて重要であるが、この機能が地方銀行内部にほとんど残っていない。

信用情報であればリスクモンスターのような提供会社、あるいは信用リスクそのものをカバーしてくれるEギャランティのような便利な企業がたくさんでてきている。

つまり、手元に預金さえあれば何のノウハウもなくても、融資ができるのである。

しかも、このような信用情報も、全国規模で専門に集める企業の方がデータが豊富で精度が高い(倒産パターンなどを正確に把握できる)。限定される地方銀行の情報量では太刀打ちできない。

さらには、各種業務に使用するソフトも、外部の汎用品(金融機関向け)を使うことが少なくない。

地方銀行は、高度なノウハウを持つ全国規模の企業の代理店あるいは支店、さらには「店舗オーナー」以上のものでは無くなってきているといえる。