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「地方」と「地方銀行」はなぜ衰退するのか?

若者の邪魔をしない社会が必要

低金利政策は最悪である

これまでも、安倍政権・黒田日銀の経済面の失策と言える「超低金利政策」の弊害について述べてきた。当サイト4月26日の記事「『バブル』は続くよどこまでも……もう誰も金利を上げることができない」などで、低金利の弊害と、金利引き上げの効果を解説している。

しかし、前記記事のタイトルに示されているように、現在では「金利引き上げは核ミサイルのボタン」並みに恐れられていて、リーマンショックのような大事件が起きて「世界が破滅する」という共同幻想が支配的なため、利上げが実現される見込みは乏しい。

ほぼ唯一の可能性は、当サイト5月29日の記事「世界経済低迷の最大原因・中国が退場すればデフレが終わる」で述べた様に、貿易戦争(第2次冷戦)の結果、世界市場からデフレの火元である中国が退場し、それによって生じるインフレの結果、自律的に金利が上昇することである。

低金利の地方銀行に与えるマイナスの影響はしばしば議論されるが、重要なのは「利ザヤ」では無く、絶対的な金利水準である。

もちろん、2%の貸出金利で、2%の利ザヤを加えて4%で貸し出しを行うのは難しいが、10%の金利に2%を上乗せして12%で貸し付けを行うのは簡単である。

 

しかし、地方銀行や地方の疲弊は、絶対的な金利の低さによって引き起こされている部分が大きい。

例えば、金利10%で10社に貸し出しをして、1年後にそのうち1社が倒産して元本が返済不能になっても、9社の金利(合計90%)でおおよその元本は回収できる。

ところが、2%の金利であると、50社近くに貸し出しをしたうちの1社しか倒産が許容されない。

金利の絶対値が低いと、返済が確実な大手上場企業への貸し出しに奔走し、延滞・破綻リスクの高い中小、ベンチャーに資金供給が行われないということになるのだ。

東京本社の企業には格付けがAAAの企業が無数にあるが、地方本社の企業はあまり見かけない。

結果、大都市の大手企業は使いきれないほどの現金を積み上げるのに対して、地方の企業は資金繰りにきゅうきゅうとするわけである。

しかも、もっと悪いことに、そのような低金利政策・デフレで困窮している地方企業を政府金融をはじめとする公的な資金で支えることによって、「ゾンビ企業」が蔓延する。商品やサービスの供給過剰が主たる原因だ。

雇用対策などはもちろん重要だが、それは別途考えるべきことである。「資本主義」が十分機能し、地方に十分な富を生むためには、強い企業が生き残る自然淘汰が不可欠である。

政府の資金=国民の血税で、ゾンビ企業を生き残らせ、「人為的な供給過剰」で健全・優良な企業の成長を妨げるというばかげたことが行われているのが、地方衰退の大きな原因とも言える。