# 人口・少子高齢化 # ひきこもり # 法医解剖

解剖医が「ミイラになった遺体」から考えた、この国の厳しすぎる現実

親と同居していたのに一体なぜ…
西尾 元 プロフィール

息子を殺害した元官僚の父親は、川崎の事件を知って、自分の息子も同じような事件を引き起こすのではないかと不安だったといっているようだ。

内閣府の調査によると、自宅で半年以上閉じこもっている15〜39歳の「ひきこもり」の人は約54万人。40〜64歳の「ひきこもり」の人は約61万人にのぼる。

最近では、ひきこもりの人の高齢化が進んでいる。80代の親が無職の50代の子の面倒をみる、いわゆる「8050問題」が話題となっている。

法医学教室に運ばれてくるひきこもりの人には、こうした事件に関係して亡くなった人もいるが、その数はとても少ない。解剖台の男性のように、自宅でひっそりと亡くなった人が多い。

今のところ、ひきこもりの人を解剖する時には、ひきこもりの人だけを解剖している。

しかし、そのうち、状況は変わってくるだろう。ひきこもっている子が親よりも先に亡くなれば、ひきこもりの子だけを解剖することになる。

だが、時間が経つと、ひきこもりの子を抱える親が先に亡くなるようなことがおこってくる。

親が亡くなった時、ひきこもっている子は親の死を周りの人に伝えることができるのだろうか。

もしそれができなければ、ひきこもっている子は生きていくことはできない。そうなれば、ひきこもりの子とその親の遺体が同時に見つかることになる。

私たちのところへは親子二人が同時に運ばれてくることになるだろう。

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