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解剖医が「ミイラになった遺体」から考えた、この国の厳しすぎる現実

親と同居していたのに一体なぜ…
西尾 元 プロフィール

20代の頃から、男性はほとんど自分の部屋にひきこもる生活をしていたらしい。大学を卒業して就職したのだが、職場の人間関係の不具合で退職した。その後、いろいろと仕事はしたようなのだが、結局のところ、部屋にひきこもるようになってしまった。

ここ数年の間は、ほとんど両親と顔をあわすこともなかった。男性の部屋から物音がしないことを不審に思った親が部屋に入ってみると、ベッドからずり落ちるような格好で男性は亡くなっていた。

体がミイラ化するほど時間が経っているので、解剖しても死因を明らかにすることは難しいだろう。そう思いながら、解剖を始めた。

 

だが、死因はすぐにわかった。男性の死因は、肺炎だった。左右の気管支をメスで切り開くと、黄白色の膿汁がたまっていた。肺の中からも同じような膿汁が出てきた。

男性は40代とまだ若い。病院で治療を受けていれば、肺炎で亡くなることはなかったかもしれない。

だが、この男性は、病院で治療を受けることもなく、また、だれにも看取られることもなく、部屋でひっそりと亡くなってしまった。

ひきこもりをめぐる状況

先日、元官僚の父親が、仕事をせずに同居していた息子を殺害するという事件があった。

父親は、息子から暴力を受けていたともいわれている。亡くなった息子は44歳。父親は76歳。

この事件が起こる前には、川崎で小学生の児童ら20人が路上で次々に刺され、小学生の女児一人と外務省の職員一人の計2名が亡くなるという事件があった。

犯行後に自殺した犯人の男性は、51歳。最近10年以上、犯人はひきこもりの生活をしていたという。

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