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「遅咲き」の料理研究家がすすめる、老いを悲観しない生き方のコツ

江崎美惠子「気持ちよく生きる」ヒント

「いま仕舞ってたまるものか」

―江崎グリコ社長・江崎勝久氏夫人にして、料理研究家としても著名な江崎美惠子さん。新刊『人生 楽しく 仕切り直し』は、老後の人生をいかに心豊かに過ごすかをテーマにしたエッセイ集です。年齢を重ねたからこそ見えてくる「気持ちよく生きるためのヒント」が、一冊に凝縮されています。

はじめは、いかに人生を美しく「仕舞う」か、つまりどのようにフェードアウトするかをテーマに書くつもりでした。しかし、世の中を見渡すと、もはや80歳とはいわず、100歳まで元気に生きる時代です。70代の方にしてみれば、「いま仕舞ってたまるものか」という感覚ですよね。思い直して、年を重ねるごとに新たなステージに上がっていく「再出発」をテーマにすることにしました。

 

―江崎さんが大切にされている流儀がいくつも紹介されていますが、なかでも「時間をムダにすることは、命を削ること」という言葉は、とても示唆に富んでいます。

これはずいぶん前に、どなたかに伺った言葉です。私自身、年齢を重ねるにつれ「時間=命」という事実を、日々実感しています。いくら寿命が延びても、私たちの命が有限であることに変わりはありません。その限りある時間を、いかに心地よく過ごせるよう配分できるか。そうやって考えた結果、私は仕事でもプライベートでも、自分が心から楽しめないお誘いは、思い切ってお断りするようになりました。

長く生きていると、どうしてもしがらみに足を取られて身動きがとれなくなってしまうものです。一度立ち止まり、整理をする必要があります。

その代わりに、あえて何も予定を入れない日を定期的に作り、自分の好きなことをするようにしています。朝から家中を掃除するでもいいし、どこか行きたいところに出かけるでもいい。庭の木々を愛でたり、澄んだ空をのんびり見上げたりして、「季節のいいところ」を探すのも素敵な時間です。ちょっと立ち止まって、ゆったりとした時の流れを意識できると、それだけで「生きる幸せ」を実感することができると思うのです。