法令違反が7割超、ブラック企業を次々に生み出す技能実習制度の構造

止まらない人権侵害の現状と背景
望月 優大 プロフィール

ブローカーの介在

一つめの要因は、実習生の募集やマッチングに介在する国内外の民間ブローカーの存在だ。

技能実習生の受け入れ方には大きく分けて二つのタイプが存在する。一定規模以上の企業が実習生を直接雇用する「企業単独型」と、中小零細企業が組合や商工会などを通じて間接的に実習生を受け入れる「団体監理型」だ。実は実習生全体の96.6%が後者の団体監理型によって受け入れられている(2017年末時点)。

外国人労働者の問題と聞くと日本の大企業が外国人をこき使っているようなイメージを持つ方も多いかもしれないが、少なくとも技能実習制度に限ってみれば、紛れもなく中小零細企業に労働力を送り込むための制度として機能している。そして、そのことが、この制度が多くの問題を構造的に発生させてきたこととも深く関わっている。

 

実習生と実習先とのマッチングは、送り出し国と日本の双方に存在する民間のブローカーが介在して行われている。

一般論として労働者のマッチングは公的な機関(ハローワークなど)が無料で行うこともありえるし、民間の事業者が有料で行うこともありえるが、実習生については後者のパターンが取られている。しかも、団体監理型では最低でも二つの民間事業者が挟まっている。それが、送り出し国側の「送り出し機関」と受け入れる日本側の「監理団体」である。

送り出し機関や監理団体という言葉だけ見るとよくわからないと思うが、両者ともにその本質は民間の人材事業者である。実習生(候補)に対する日本語教育や職業上の研修、日本での生活面でのサポートなど、通常の人材ビジネスよりも対応範囲は広いものの、あくまでコアにあるのは人材の募集とマッチングだ。

実習先となる中小企業にとって、外国で暮らす労働者や外国の人材会社を自力で開拓することは簡単ではない。政府が間に挟まって紹介をしてくれればいいのだが、現状はそういう仕組みになっていない。結果として、民間の人材事業者に頼って手数料を払わざるを得ないため、実習生本人に支払う賃金を削り込むことになる。

労働者と受け入れ企業との間に挟まる中間事業者が多ければ多いほど、企業が実習生に支払うことができる給与は少なくなってしまう。当然のことだ。この点が、技能実習生が日本人の低賃金労働者よりさらに深刻な低賃金状態に陥りやすい一つめの制度的な要因となっている。