法令違反が7割超、ブラック企業を次々に生み出す技能実習制度の構造

止まらない人権侵害の現状と背景
望月 優大 プロフィール

技能実習の建前と現実

技能実習制度の本質にあるのも「建前」と「現実」の乖離である。まずは建前の方から確認しよう。2017年11月に施行された技能実習法(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)の第一条は技能実習の目的をこう定義している。

(……)人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術又は知識(以下「技能等」という。)の移転による国際協力を推進することを目的とする。

ここに明確に示されている通り、技能実習制度の建前は先進国たる日本から発展途上国への技能等の移転による国際協力だ。ODAの位置付けに近い。派遣された日本の職場でのOJT教育を通じて身につけた技能を持ち帰り、自国の発展に活かしてもらうということである。表向きは、日本は与える側であって与えられる側ではない。

〔PHOTO〕gettyimages

だがその建前とは裏腹に、技能実習制度は表向きは受け入れを認めていない低賃金の出稼ぎ労働者たちをサイドドアから受け入れるための方便として機能してきた。地方にある工場や、日本人労働者を採用しづらい重労働かつ低賃金の職場にとって、この制度は労働者を継続的に獲得して事業を維持していくために必要不可欠なシステムとなってきた。

 

実習生が特に多いのは、食品製造、機械・金属、建設、農業、繊維・衣服などの第一次及び第二次産業である。かつては繊維・衣服が非常に多かったが、最近は食品製造や建設、農業などの分野での伸びが著しい。

だが、問題は国際貢献という建前と非熟練労働者の受け入れという現実との間に大きな乖離があるということばかりではない。より大きな問題は、その乖離が実習生に対して様々な具体的被害を引き起こしてきたということにある。