「ひとつ提案なんだけど」

同居してそばで見ていればつい手を出してしまうのかもしれないが、離れていても節目ごとに干渉してくるばあばもいる。

保育園児ふたりを育てる都内に住む40代の女性会社員は、隔日くらいで届く姑のラインに、困惑する。

絵本は買ってあげているの?
(送り迎えに使う)電動自転車は買ったの?

といった質問のあとに、必ずついてくるのが「お金はこっちで出すから」だ。

まだ長男の小学校入学は再来年なのに、早くも「小学校は一駅先の私立に入れたらどう?あそこはいい学校よ。そのためにもそろそろ塾に行かせてください」ときた。そして続くのは「お金は出すから」。

孫がのびやかに健やかに育つ学校を望む。それは親でも祖父母でも同じだろう。しかし[受験がその子に幸せか」「なぜその学校がその子にいいのか」[ではある気がする Photo by iStock

「ラインはいつも、『ひとつ提案なんだけど』で始まるんですが、途中から命令形になるんですよね。買いなさいね、塾に申し込みなさいね、という具合で。で、最後は、お金は出すから、で終わる。本当に困ってしまいます」

実の息子である夫に「提案」してほしいと思うが、多忙な夫は返事をしてこないと思うのか、嫁である女性にラインしてくる。

裕福で私立至上主義の祖母

「夫の両親は60代で、義母は専業主婦。義父は大手企業に勤めていたし、給料が下がる前に定年になった逃げ切り組。私や夫の年収を聞いたら少なくて驚くと思います。裕福なので孫につぎ込みたい気持ちもわかるのですが、学費を出してもらうのはどうかと思うし、私立なんて学費以外でも制服や行事などでお金がかかるし」

――うちは公立でいいんです、と言ってしまえばいいのでは?

こちらの質問に、女性は首をぶんぶん横に振った。

「お義母さんが、小学校から大学までずっと私立の付属校なんです。いわゆるエスカレーター式。夫やその兄も同じ、オール私立です。だから、公立の短所をよく話してますね。先生の転勤もあるし、担任が外れたらもう最後よ、なんて。私は高校も都立で小中高と公立なのに、なんだかバカにされているみたいで」

ところが、私立推しのこちらのばあば、一度お酒が入ったときにこうぼやいたことがある。

子育て、失敗したかもねえ。お兄ちゃんは高等部には上がりたくないって、自分から降りちゃったし。〇〇(女性の夫)は就活でダメだったし。(私立に行かせて)背伸びさせすぎちゃったかしらねえ」

いやはや。息子で失敗したかもと思っているのに、なぜ孫に勧めるのか。

「そうなんですよ。でも、自分も私立育ちでメンツがあるのかなあ、なんて思いますね。お友達から、お孫ちゃんはどこを受験させるの?って聞かれたと言ってましたから。きっと受験ありきの世界なんですね。私たちは公立でいろんな家庭のお子さんと一緒にのびのび育てたいのですが……」