職場に馴染む30分のセッション
最後に、大企業からスタートアップやベンチャーに移籍した後、職場に馴染み、影響力を発揮できるようになる方法を紹介します。
GEなど外資系企業で行われる「アシミレーション(assimilation:融和、同化)」というワークです。
上司と部下の例で解説しましょう。
簡単にいうと、部下たちが上司抜きの場で新しい上司にしてほしいことを本音で語り合う場を設け、誰が何を言ったのかわからない状態にして、上司にフィードバックするのです。着任3か月~半年以内に行います。
会議室に部下とファシリテーターだけ入ります。上司である「〇〇さんについて知っていること」「知りたいこと」「自分たちについて知ってほしいこと」「変えてほしいこと・変えてほしくないこと」などをファシリテーターがざっくばらんに聞き出します。
この時に聞き出した内容を書くのはファシリテーターのみです。参加者が書くと、文字のくせで誰が何を言ったのはわかるので本音が出なくなるからです。

部下からの意見が出尽くしたら部下は退席し、今度は上司がその場に入ります。張り出された部下の本音のフィードバックをまじまじとみるのです。
内容は綺麗ごと抜きの本音や素朴で具体的な事になります。「コミュニケーションはメールがいいですか、電話がいいですか」「本当に好きな飲み物はなんですか」など、普段聞けそうで中々聞けないことを洗い出します。
この小さな問いを埋めていくことで、心の距離を縮めていくのです。
日本GEの安渕聖司(代表取締役GEキャピタル社長兼CEO)はこのアシミュレーションを受けた時、「変えてほしいこと」に書かれた、「会議の最中に、悪い話になると突然キレるのはやめてほしい」とか「興味のない話になった瞬間、ほかのことを始めないでほしい」いうコメントをみてびっくりしたそうです。無自覚だったからで、その後、この癖を修正したそうです。
この例のように、アシミュレーションをすると、部下がいいにくい「変えて欲しいこと」を率直に伝えられるし、上司は、「気づかなかったことをいってくれて、ありがとう」と謙虚に受け止められるので、職場の雰囲気もマネジメントもよくなります。これは上司対部下だけでなく、中途採用者には全て効果的なのでお勧めします。