考えてみれば、当然かもしれない。夕飯が簡易的だといっても生きていくためにはなにかしら食べなきゃいけない。ただ生活しているだけでも埃が溜まるから掃除機をかけるし、服を着たら洗濯をする。それは、どの国でも同じだ。

でも、なぜだろう。ドイツでは、「家事分担をめぐって夫婦喧嘩」やら「家事をめぐる愚痴」やらをまず聞かない。そういう家庭もあるのだろうが、少なくともわたしは、自分を含め「家事が負担になっている」という印象を受けない。そういったニュースも見かけない。

そこには、よく指摘されるように、労働時間のちがいもあるだろう。毎日の自由時間が5時間ある人が2時間家事をするのと、自由時間が2時間しかない人が2時間家事をするのでは、負担率が大きくちがう。だから日本ほど「がんばって家事をしている」感がないのかもしれない。

ただ、そもそも「家事」に対する価値観が大きくちがうから、そこまで「負担」に見えないのではないかと思う。

ドイツ・ベルリン在住写真家による60年代・普通のお宅ののリビングルーム Photo by atlantic-kid/iStock

注目すべきは「男女の家事時間の差」

この統計で注目したいのは、男女の家事時間の比率だ。日本ではよく「女性の家事負担が重い」「欧米の男性は家事を積極的にする」といわれるし、統計でもそういう結果がでている。

そんな話をするとジェンダー論のように聞こえるが、わたしの実感として、ドイツではただ「自分のことは自分でしているだけ」だ。

こちらも60年代のベルリン。裕福なお宅のリビングダイニング Photo by atlantic-kid/iStock

食事を終えれば自分で食器を下げるし、自分の服は自分で管理する。洗濯物がいっぱいなら気づいた方が洗濯をするし、汚れが気になったら自分で掃除機をかける。だから日本のように、「結婚したら女性の家事負担が明らかに大きくなる(男性が女性に家事を丸投げする)」ことはまずない

実際、前述したWSIの統計によると、子どもがいないフルタイム勤務の既婚女性と、フルタイム勤務のひとり暮らし女性の家事時間は、2.39時間とまったく同じである。6歳以下の子どもがいるフルタイム勤務の女性も2.47時間と、家事時間はほぼ変わらない。

結婚しようがしまいが、子どもがいようがいまいが、家事時間はほとんど同じ。つまり、「自分のことを自分でやっている」のだ(ひとり暮らし男性の家事時間の統計はないが、子どもがいる/いないに関わらず男性の家事時間は2時間程度なので、ひとり暮らしでも同じ程度ではないかと思う)。

大人なんだから自分のことは自分でやる。妻から「服を片付けて」「使ったコップは下げて」なんていちいち言われるのは、男性としても「恥ずかしいこと」なのだ。