日本全国「3つの県境に接する」秘境の村に行ってみた

携帯電話はずっと圏外
週刊現代 プロフィール

都会にはないものがある

男性は自分のペースで仕事がしたいと岡山市内から移住してきた。買い物に行くのに車で40~50分かかることにも慣れ、誰かに干渉されることのない日々を気に入っている。

作業も基本的には1人で行っていて、直径7mほどのコンクリートで囲った養殖池2つを使い、年間5万匹ほどを出荷している。

 

これまでは道の駅などへのイベント出店がメインだったが、少しでも多くの人にあまごの魅力を知ってもらおうと、今年4月に岡山市の表町にカフェ&バル「ナラデワ」をオープンした。

こちらの店を切り盛りしているのは、養殖場を営む「株式会社KC3」社長の松田礼平さん(31歳)だ。

「もともと地域おこし協力隊という制度により、6年前に福岡市から移住してきました。地域振興という役割で来て、使われていないあまごの養殖場を見つけたので話を聞くと、後継者がいなくなったのでやめたということでした。

地域に根付いた産業なので、それを復活させるというのは活動としてわかりやすいかなと感じ、'14年からあまごの養殖を始めました」

気になる味を確かめるべく、塩焼きを注文。とてもあっさりとしており、鶏のささみ肉を食べているかのよう。プリッとした食感に川魚ならではの香りの良さ。頭も骨も食べられるのでガブリと食らいつける。日本酒やビールのアテにぴったりだ。

松田さんは移住支援のNPO法人「nimmi」の代表理事も兼務しており、神郷油野での暮らしの魅力をこう語る。

「自然との距離がすごく近いですし、日が昇ってから落ちるというリズムで生活していける。人も少ないので静かです。それでいて、都会と違ってみんなで自分たちの地区を維持し、支え合っている。都会にないものがここにはあります」

緑と水に囲まれたこの土地は、移住者からの評判も上々のようだ。

発売中の『週刊現代』では、このほかにも、静岡県、長野県との境界に位置する山梨県南巨摩(こま)郡早川町の最北、奈良田(ならだ)や熊本、宮崎、鹿児島の3県をまたぐ名物路線、肥薩線について特集している。

「週刊現代」2019年7月6日号より

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