日本全国「3つの県境に接する」秘境の村に行ってみた

携帯電話はずっと圏外
週刊現代 プロフィール

携帯電話の電波は、すでに完全に圏外だ。本殿までの石段の途中には「熊出没注意」の看板もある。ここが都心から2時間足らずで来られる場所とは信じられない。

「下界とは雰囲気がまったく違います」

観光協会の担当者がそう言っていた理由がよく理解できる。本殿からさらに歩を進めると、奥の院にたどり着く。

その横に、まさに「神樹」というほかない、500年の時を生きる桂の大木が現れた。雨に煙りながら聳え立つ大樹の姿はこの世のものとも思えず、荘厳の一言だ。

 

かつては、甲州を本拠地としていた武田信玄も戦勝を祈願し、この神社を崇敬していたという。戦国時代から、この場所はすでにパワースポットとして人々に畏敬されていたに違いない。

雨の中、本誌記者の他に参拝客はいないと思ったが、参道を下っていくと、駐車場に一台の車が停車するところだった。東京の八王子からやってきたという40代の男性に話を聞いた。

「神社巡りをするのが趣味で、ここまで来ました。戦の神が祀られているとかいろいろ由来はあるけど、とにかく山奥にあって景観がすごいですよね。

歴史的な背景を知ることも重要だけど、大自然に圧倒されて驚き、心が洗われる感覚を味わう。これこそがパワースポットを巡る醍醐味です」

晴れた日には、鬱蒼と茂る樹木の向こう側に富士山も見えるという。

水と緑の楽園(岡山・鳥取・広島)

岡山県新見市の新見駅から20㎞ほどの距離にある、同市西端の神郷油野。

岡山・鳥取・広島の県境に位置する三国山から約3㎞西に位置するこの辺りには、家が数えるほどしかなく、緑や田畑に囲まれた四季を感じることができる。ここで生まれ育った86歳の男性が胸を張る。

「冬は雪が40~50㎝積もることもあるけど、空気もいいし、夏は涼しい。冷房なんていらないよ」

近くには一級河川の高梁川水系西川支流の三室川も流れる。この恵まれた水環境を利用し、この地で養殖されてきたのが、体色の美しさから「渓流の女王」とも称されるあまごだ。

「神郷あまご養殖場」で働く20代の男性に声を掛けると、快くあまごを見せてくれた。やまめにも似ているが、あまごは体に細かい赤い斑点が散らばっているのが特徴だ。

「あまごは水温が低いところでしか育たないんです。25度以上では基本的に無理で、もちろん水もきれいであることが条件になります」