日本郵政ショック再び?働き方改革で「正社員の手当削減」という悪夢

あなたも無関係ではない?!
佐藤 敦規 プロフィール

正社員にのみ支給される手当が問題となる

同一労働同一賃金の導入で最も問題となるのは「手当」である。通常、正社員と非正規社員では売り上げノルマの違いなど責任の程度は異なることが多いため、均等待遇ではなく、均衡待遇の扱いとなり、基本給や賞与という面では、ある程度の差は容認されるはずだ。

一方、手当については、住宅手当や家族手当のように一定の要件を満たせば、仕事の成果や本人の能力などと無関係に一律で支給される企業もある。

固定給としてはなくてはならない手当だが、支給基準が明確に定まっていないこともある。筆者が同一労働同一賃金のコンサルを企業から依頼された場合、正社員や契約社員など社員の区分ごとに支給されている手当の種類、金額、支給理由を一覧にして貰うようにしている。

 

最近では、手当制度をできるだけ最小限に留め、基本給・賞与、インセンティブなどというシンプルな要素だけで給与を決める会社が増えてきた。とはいえ、歴史ある日系企業の勤務する正社員には、依然として住宅手当、家族手当、精勤手当、資格手当、食事手当など様々な手当が支給されていることを実感した。

正社員のみに支給されている手当が大半だが、支給理由は曖昧なものも見受けられた。例えば住宅手当。正社員のみに転勤制度があり、転勤した社員のみに支給しているのであれば非正規社員に支給しなくても合法だという説明がつく。

しかし実際には、賃貸住宅に住んでいる人、住宅ローンがある人に対して支給しているなど一律で支給している企業もある。そもそも本社も工場も東京都内にあるため、事情がない限り単身赴任が発生しない企業もあった。

「なぜこの手当があるのか」尋ねると「私が入社する前からありましたので……」と大手メーカーの子会社の人事担当者も理由がわからないようだ。その他食事手当など仕事と関係なく正社員、非正規社員に支給しなければならない手当を正社員にのみ支給していた。

生活給としての要素が強い手当

各種手当を支給し続けてきた企業には、それなりの理由があると考えられる。年功序列の要素が強い日系企業でも、昭和の時代のように入社した社員の全員が30代で係長、40代で課長になることは、なくなっている。

通常、役職によって基本給の上限はきまっているので昇進しない限り、給料は大幅に上がらない。これは大企業でも中小企業でも同じことだ。それでは結婚して子供が生まれたら、生活が苦しくなる。

その点、住宅手当や家族手当は、役職に関係なく実家住まいではない、結婚しているなどという要件さえ満たせば等しく支給される。いわば昇進が遅れている中堅社員の救済措置となったのである。

また企業側にも基本給のアップではなく、手当で支給することはメリットがある。退職金は、勤務年数に応じて基本給×勤続年数の計算式で算定し、各種手当を含まないからである。平均して35年勤続で退職し、3万円の手当を支給しているのであれば、35年分×3万円の105万円分にかかる退職金を削減することができる。

関連記事

編集部からのお知らせ!
SPONSORED

おすすめの記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/