日本郵政ショック再び?働き方改革で「正社員の手当削減」という悪夢

あなたも無関係ではない?!
働き方改革で残業が減り、収入が低下したと嘆くサラリーマンがいる。
しかし、水面下ではもっと深刻なことが検討されている。それは同一労働同一賃金への対応のため、正社員に支給されていた各種の手当が大幅に減るかもしれない可能性がある。毎月数万円単位の手当を受け取っていたサラリーマンにとっては、残業代の減少以上にインパクトがある。
社会保険労務士で『働き方改革対応・助成金実務のポイント』の著書もある佐藤敦規氏が解説する。

同一労働同一賃金が導入される背景

同一労働同一賃金は、来年の4月から導入される働き方改革の施策の一つである(中小企業は2021年から適用)。その内容は、均等待遇と均衡待遇という2つの方針に沿って、契約社員、派遣社員、パートタイム社員といった非正規労働者の待遇をできるだけ正社員の待遇に近づけようとするものである。

均等待遇とは正社員と非正規社員と同じ仕事をしていれば、同じ給料にしなければならないというものだ。均衡待遇は正社員と非正規社員との仕事の内容や売り上げのノルマや部下の管理など責任の重さが異なれば、違いに応じた賃金を支払わなければならない。待遇という言葉が使われているのは、賃金以外の福利厚生施設の利用や休暇も対象となるからである。

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一見、正社員と非正規社員で同じような仕事をしていても責任の重さが異なることが多い。したがって均衡待遇の扱いが焦点となるであろう。何をもって均衡とするかは、曖昧なため、同一労働同一賃金のアウトラインは見えにくい。

しかし単なるかけ声ではなく、強制力を伴った要素もある。例えば、派遣社員の給与は派遣する派遣先企業の水準に準ずるものにするか、厚生労働省が作成する職種ごとの統計調査の基準値を上回らなくてはいけないとしている。

 

こうした内容を説明すると「なぜ、国が企業の賃金を決めるのですかね? 本当に現政権が考えた施策なのですか?」と困惑する経営者もいる。

同一労働同一賃金が導入される理由は、賃金のアップだ。アベノミクスは、一貫して物価の上昇を誘導するため、賃上げを提唱してきたが、今に至るまで思うようには実現していない。

もちろん賃金はアップした。東京都の最低賃金は2014年の888円から2018年の985円へと4年間で100円近く上昇し1000円に到達しようとしている。また厚生労働省が発表した平成30年「賃金引上げ等の実態に関する調査」によれば、平成30 年中に「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業割合は89.7%にも上り、一人当たりの平均賃金の改定額も5,675円と前年の5,627 円を上回っている。

しかし、そうした数字を考慮してもまだまだ十分な数字ではない。正社員の賃上げが難しいのであれば、上げる余地も大きい非正規社員の賃金を上げようとしている。

実際、正社員と非正規社員の給与には大きな差がある。平成29年度の国税庁統計では、正社員の平均年収493.7万円にたいして非正規社員の年収は175万に過ぎない。欧州のように正社員の給与の7割程度にもっていきたいという目標がある。

解雇規制が厳しい正社員の場合、一旦昇給させてしまったら持続してその分の賃金を支払わなければならないが、非正規社員は、有期契約なので雇用調整をしやすいという発想があるのかもしれない。