事故多発…民間人が「自衛隊の武器弾薬」を運ばされている

業界の猛反発も無視して
時任 兼作 プロフィール

今に始まったことではなかった

2016年2月の予算委員会で、民間の輸送について中谷元防衛相は、

「防衛出動時の有事におきましては、自衛隊が民間事業社から船舶そのものを受けて、自衛官が乗り込んで運航する、ということを想定いたしております」

と説明したものの、その裏で内閣はまったく反対のことをしていた。内閣がひそかに作成した資料の中では、「個別具体の状況によっては、第9条第2項に基づき民間業者等(中略)に対して我が国領域外における協力を依頼することもありえます」と明記されていたのである。「しんぶん赤旗」の情報公開請求で明らかになったことだが、民間人に、それも海外で自衛隊の任務を手伝わせようというのだ。

 

さらに調べていくと、安全保障関連法成立以前にも民間協力があったことが判明した。

内閣は同法成立後の2016年3月、社会民主党の照屋寛徳議員が提出した「海上自衛隊による民間船舶借り上げ及び民間船員の予備自衛官任用に関する質問主意書」に対する答弁書で、堂々とこう述べていたのだ。

《防衛省では、従前から、訓練等の所要のため民間船舶による輸送役務契約を民間事業者と締結し、自衛隊員、装備品等の輸送を行っているものの、その開始時期については、同省においてこれまで調査した限りでは、特定することができず、お答えすることは困難である》

自衛隊の「民間頼み」は、今に始まったことではないと内閣が公言したわけである。事実、2001年の米同時多発テロ事件の発生を契機に制定されたテロ対策特別措置法の時代ですら、実は民間協力が行われていた。

2015年8月、参院安保法制特別委員会で日本共産党の辰巳孝太郎議員が、陸上自衛隊のイラク派兵(2004~06年)の状況をまとめた内部文書「復興支援活動行動史」に「総輸送力の99%を民間輸送力に依存」と明記されていることを指摘。その上で、輸送の中身を追及すると、中谷防衛相は以下のようなことを認めたのである。

(1)民間航空機では日本航空などを利用し、少なくとも100回輸送した

(2)日本通運との契約で、武器・弾薬などの運搬も行われた

(3)装備品の整備、修理のため民間技術者のべ39人が現地に派遣された

こうした事実が明るみに出ていたにもかかわらず、同年、安全保障関連法は成立した。だからこそ、内閣も防衛省も今なお強気なわけである。

関連記事