こうしたステレオタイプは決してネガティブなものばかりではないが、結果的にはアジア系の人たちの首を締める結果になったのかもしれない。昨年6月、アジア系アメリカ人の学生のグループがハーヴァード大学に対して起した訴訟によって、同大学がアジア系学生の「パーソナリティ配点」を全体的に低くしていたことがわかった。学生のグループは、この大学の方針を「アジア人は勤勉で社交が苦手であるというステレオタイプに基づいた」差別であるとの立場を表明している。

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また、北米の経済界のアジア人口を代表する非営利団体アセンドがまとめた調査によって、サンフランシスコおよびベイエリアのテックセクターにおいて、アジア系男性の稼ぐ給料は、ヒスパニック系の男性以下、黒人系男性以上で、アジア系女性の給料は、他のどの人種の女性よりも低いこと、アジア系は管理職をオファーされる可能性が格段に低いことが明らかになった。

今、アメリカでは、あらゆるタイプのマイノリティたちの立場を高め、体制的な差別を是正していこうという気運が高まっている。#metooに代表されるフェミニズム運動も、黒人たちのエンパワメント運動も、LGBTQ人口の権利拡大運動も、大きな社会ムーブメントのうねりを作る枝のひとつである。

そんな時代だからこそ、今、アジア系アメリカ人たちの権利拡大運動は、「白人的アメリカ人」を目指してしまった先の世代とは一線を画した、リアルなアジア人像の姿を伝えようという意思を感じさせる。