アメリカのポップカルチャーにおいて、これまで他のエスニック・グループに比べて比較的影の薄かったアジア系の活躍が目覚ましい。

今年1月に開催されたゴールデン・グローブ賞で、コメディアンで女優のサンドラ・オーが主演女優賞をアジア系の女性として初めて獲得した(「アジア人」というくくりになると1980年にミニドラマシリーズ『将軍 SHOGUN』で島田陽子が同賞を獲得している)。

アジア系として初めてゴールデン・グローブ賞の司会をも務めたサンドラ・オーは、壇上で「この変化の瞬間を目撃したかった」と述べて、会場の大喝采を受けた。

人気ドラマシリーズ『キリング・イヴ』で主演を務め、第76回ゴールデン・グローブのTVドラマ主演女優賞に輝いたサンドラ・オー〔PHOTO〕Getty Images

彼女が「この変化の瞬間」と言ったのには理由がある。歴史的にハリウッドは、アジア系には厳しいところだと言われてきた。アジアから輸入されたブルース・リーやジャッキー・チェンといった数少ない特殊な例外をのぞいて、アジア人俳優たちは脇役にしか配役されないことが圧倒的に多かったからだ。

それが今、ようやく変わりつつある。

昨年は、オール・アジア系キャストで制作されたハリウッド映画『Crazy Rich Asians』が北米で興行成績1億7450万ドルの大ヒットを記録した(ちなみに余談ではあるが、この映画、キャラクターたちが「アジア人であること」がキモの映画なのに、日本では奇妙なことに「アジア人たち」が略されて『クレイジー・リッチ』と題された。ポスターでも、主人公二人の肌の色のトーンが明るくされている。アジア系が主役になっているということを消したいのだろうか。つくづく奇妙なことである)

そもそもハリウッドは、俳優、監督、裏方、映画・テレビ業界のトップにいたるまで、白人男性が圧倒的に多い場所だった。そして、マイノリティの映画は興行成績を取れないという定説もあった。