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老後2000万円問題、日本全国で「ある勘違い」が蔓延しているワケ

資産運用業界のターニングポイントだ

残念な反応

今回は「老後2000万円問題」について、資産運用会社のトップとしていま考えていることをみなさんにお伝えしたいと思います。

とても言いにくいことですが、「老後2000万円問題」については、残念な反応の連鎖が起きたと思っています。金融庁の報告書は、高齢社会を取り巻く環境変化について整理し、考えられる対応についてまとめたものです。「夫婦2人が95歳まで生きると2000万円不足する」などと断定しているわけではなく、私は非常にまっとうな提言だと感じました。

ところが当初、メディアは報告書をきちんと読み込んだとは考えづらいほどに、内容を捻じ曲げてセンセーショナルに報道しました。正確に情報を伝えることより、不安をあおって人々の関心を引くことを優先したのだとすれば、レベルが低い仕事だと言わざるを得ません。

 

さらに、参議院議員選挙を控える中、野党はこの問題を政治利用しようとしました。「2000万円の赤字を自分で用意しろというのか」「100年安心の年金制度というのは嘘だったのか」などとトンチンカンなことを言って責め始めたのです。

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それに対して与党からは「(報告書は)評価に値しない」「国民に誤解を与えた」といった声が上がり、麻生大臣は金融審議会の報告書の受け取りを拒むという暴挙に出ました。

こうした一連の経緯は、非常に残念なものでした。しかし実は、私が個人的にもっと残念だと思っていることがあります。それは、資産運用業界がこの問題に向きあえていないのではないかということです。