「地球外生命」発見の日は近いのか!?

深海研究が拓く生命の起源

現在の地球上の生物の多くは、太陽から地球に降り注ぐ膨大なエネルギーに支えられています。私たちも光合成生物がつくる酸素によって呼吸をすることができていますが、直接太陽光の届かない深海でも多くの生物が間接的に光合成の恩恵を受けていいます。

それは、海洋表層の生物の死骸などが深海に沈んで深海生物の栄養源になったり、光合成生物が作った酸素だけでなく酸素と反応してできた硫酸など、光合成の副産物が海洋循環を通じて深海底に生きる生物に供給されたりしているからです。

しかし、この地球には太陽光エネルギーだけでなく光合成の副産物をも必要としない原始的生物がいます。このような生物が活発に活動している場所が深海のオアシスともよばれる深海熱水噴出孔です。

今回は、『深海──極限の世界 生命と地球の謎に迫る』で触れられている、深海の熱水噴出孔と生命の起源、そして、地球外海洋における地球外生命の存在可能性についてご紹介します。

【写真】中央インド洋海嶺「かいれいフィールド」高温熱水噴出孔ブラックスモーカー
  中央インド洋海嶺「かいれいフィールド」高温熱水噴出孔ブラックスモーカー ©JAMSTEC

「全生物の共通祖先」を宿す熱水噴出孔とは?

1977年の海底熱水噴出孔の発見以前、深海は暗黒不毛な場所であると考えられてきました。それもそのはず、太陽光エネルギーの届かない深海は光合成を行う一次生産者(無機物から有機物を作り出す生物)がいないので、活発な生命活動が起きようがないと思われていたからです。

しかし、海底熱水噴出孔の発見によりこの常識が覆されました。太陽光の届かない深海熱水噴出孔の周りにはこれまで見たことのないような特異な生物がたくさん群がっていて、とてもダイナミックに活動していたのです。最近ではこの中には、独自の進化を遂げた化学合成生物やその化学合成細菌を体内に共生させて生きている動物もいることもわかってきました。

【写真】中央インド洋海嶺「かいれいフィールド」から分離された超好熱メタン生成菌
  中央インド洋海嶺「かいれいフィールド」から分離された超好熱メタン生成菌(高圧下では122℃まで生育可能)高井研/©️JAMSTEC

今では、このような深海熱水噴出孔が世界中の海底から数百カ所見つかっていますが、その中でも「全生物の共通祖先」とも考えられる原始的な微生物を宿す熱水噴出孔が数カ所見つかっています。

そのような熱水噴出孔は他の熱水噴出孔とはちょっと違う組成の熱水を噴き出していることがわかってきました。なぜ、熱水の組成がちょっと違うのか? これには、熱水活動の起きる場所の地質学的な背景が密接に関わっているようです。