【プラスチックごみ問題】写真が語る海から消えゆく生き物の「嘆き」

G20で解決の道筋は見つかるのか
野見山 桂 プロフィール

私が考える海洋プラスチック汚染最大の問題、それは野生動物よる誤飲です。プラスチックで胃などの消化管が詰まることによる栄養失調、尖ったプラスチックによる消化管の内側の損傷など、様々な物理的障害が起こります。

近年、大量のプラスチックごみを誤飲したクジラが世界各国で打ち上げられている話は皆さんもご存知でしょう。フィリピンに打ち上がったアカボウクジラの胃からは、実に40キロものプラスチックが見つかりました。タイの運河で見つかった衰弱したゴンドウクジラの胃の中からは80枚のレジ袋が見つかり、これが胃に詰まって餌を食べることができなかったことが死因と見られています。

これらの鯨類の特徴は、ハクジラ類と呼ばれる歯を持つイルカ・クジラの仲間で、魚類や頭足類(イカ・タコの仲間)を主食としている点です。とくに上記のマッコウクジラやアカボウクジラは、深海へ潜って頭足類などを主食としていることが知られています。

ハクジラ類のマイルカ

数々の報道から想像されることは、深海には多量のプラスチックごみが沈み込んで、それらをクジラがイカなどの餌と間違えて飲み込んでしまっている現状が見えてきます。確かにわれわれの目から見ても、深海に浮かぶポリ袋はイカなどにそっくりです。

以前、海洋研究開発機構(JAMSTEC)が撮影した深海の映像には多量のプラスチックごみが沈み、海底に堆積している様子が写っていました。これらは微生物などで分解され自然に帰ることもなく、その場に溜まり続けます。そしてわれわれ人類は、このような深海に沈んでいる大量のプラスチックごみを未だ回収する技術を持ち合わせていないのです。

ハクジラ類だけでなく、ヒゲクジラ類へのプラスチック汚染も気がかりです。ヒゲクジラの仲間の採餌方法は、オキアミや小型魚類を海水と一緒に丸呑みし、ヒゲ板とよばれる部位で海水から餌を濾し取ります。

ヒゲクジラ類のニタリクジラの採餌行動(1)
 

昨年、高知沖でヒゲクジラ類のニタリクジラの採餌行動を運良く目の前で見ることができました。彼らは餌であるイワシの群れを見つけると我々には目もくれず、周りの海水ごと大きな口で丸呑みを始めました。その量たるや、凄まじいの一言です。

ニタリクジラの採餌行動(2)

けれど、その際にプラスチックをはじめとする多くのゴミも取り込んでしまうのではないかという懸念が生まれました。その後、色々と文献を調べてみたのですが、現在、ヒゲクジラへのプラスチックの影響は限定的な報告しかなく、今後の調査が待たれます。プラスチックによるイルカ・クジラへの汚染とその影響は、まだわからない事が多いのです。